〈9/29〜10/5 Event Report〉選んで守るサカナの未来Week

9月29日(月)〜10月5日(日)は、サステナブルシーフードを軸に“海と魚、そして人の未来”を見つめ直すことをテーマとした「選んで守るサカナの未来Week」を開催しました。1週間にわたったプログラムでは、多彩な団体や企業が連携し、持続可能な水産業と豊かな食文化を次世代へつなぐために、消費者の「選ぶ力」や企業の「つくる責任」、そして地域の「支える力」が交差し、未来の海への希望を共有しました。

サステナブルシーフードについて考える1週間の開幕/ASC×ロバート・馬場のレシピと笑いと学び!

「選んで守るサカナの未来Week」の開幕初日13時からの講演では、シーフードレガシーの花岡 和佳男氏がモデレーターを務め、一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局の井植 美奈子氏、ASCジャパンの松井 大輔氏、グローバルシーフードアライアンスの芝井 幸太氏、一般社団法人日本サステナブルシーフード協会の鈴木 允氏、WWF Japanの植松 周平氏が順次登壇し、それぞれの立場からサステナブルシーフードに関する取り組みを紹介しました。

また、10月1日(水)〜2日(木)に開催されたアジア最大級のサステナブル・シーフード・サミット(TSSS)の概要も紹介され、魚を食べ続けられる未来をつくっていこうと前向きな想いが広がる、幕開けとなりました。

15時からの講演では、ミサイルマンの西代氏がモデレーターを務め、ASCジャパンの川田 直美氏と、料理研究家・ロバート馬場氏をゲストに迎えたトークセッションを開催。終盤には、お笑い芸人のフースーヤも登壇し、馬場氏考案の認証マーク付きの食材を使った簡単レシピが披露され、会場は終始、笑いと温かい雰囲気に包まれました。

子どもたちに伝えたいサステナブルシーフード

2日目の前半は、「サステナブルシーフードと海洋教育」をテーマに、3名の登壇者がそれぞれの取り組みを発表しました。

Chefs for the Blueの佐々木 ひろこ氏は、「THE BLUE CAMP」など、食の現場から海の課題に取り組む活動について紹介。続いて、一般社団法人日本サステナブルシーフード協会の鈴木 允氏が、自身が講師を務めるオンライン総合教育プログラム「おさかな小学校」について語りました。

最後に、韓国で子ども向けのプログラムを運営するDear Oceanのウージン・チャン氏が登壇し、国境を越えた学びの連携を語り、アジア太平洋の持続可能な海を守るために、海洋教育の重要性を訴えました。

第6回ジャパン・サステナブルシーフード・アワード授賞式

2日目の後半は、「第6回 ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」授賞式を開催しました。持続可能な水産業の推進に寄与する団体や企業をたたえる本アワードには、リーダーシップ部門・コラボレーション部門で計7団体がファイナリストとして登壇。多角的な立場の実践者から、日本の魚食文化を次世代へ継ぐための革新的な挑戦が紹介されました。

その中から、リーダーシップ部門は、北海道積丹町におけるブルーカーボン創出プロジェクト協議会の「循環型藻場造成『積丹方式』によるウニ増殖サイクルとブルーカーボン創出プロジェクト」、コラボレーション部門は、水産未来サミット実行委員会の「現場起点で日本の海の未来を考える『水産未来サミット』」、さらに特別賞として日本生活協同組合連合会の「インドネシア・エビ養殖業改善プロジェクト(AIP) 第三期」が選出され、表彰されました。

TSSS中継セッション:水産業における人権について〜魚と人の未来のために〜/映像で知る~豊かな海を守る活動~

3日目は、グローバルシーフードアライアンスの芝井 幸太氏と、国際労働機関(ILO)の田中 竜介氏が登壇し、強制労働・児童労働について現状の課題を示し、それらの問題を解決するための最新の取り組みを紹介しました。

その後、並行開催されていたサステナブルシーフード・ムーブメントのフラッグシップイベント「サステナブルシーフード・サミット(TSSS)2025」と中継をつなぎ、漁業や養殖業における「人権」にフォーカスしながら、今後の展望について議論が展開されました。

後半には、WWF Japan海洋水産グループがIUU漁業やブルーエコノミーなど、持続可能な海洋環境に関する、多様な取り組みを紹介する映像を上映しました。

BLUE OCEAN DOME × TSSS 特別セッション/TSSS中継セッション:ASC認証と養殖業の未来

4日目の前半は、シーフードレガシーの花岡氏がモデレーターを務め、サラヤアクアカルチャー株式会社の亘 隆清氏が、「SARAYAが挑む、持続可能な陸上養殖」をテーマに技術や取り組みの現状を紹介しました。サラヤ株式会社コールドチェーン事業推進本部の西澤 正志氏が、コールドチェーンを支える低温技術や出荷プランを解説し、両者は今後も「次世代の養殖技術」と「コールドチェーン技術」を融合した、これまでにないサステナブルな取り組みに挑戦していくことを語りました。

続くセッションでは、アラスカシーフードマーケティング協会の家形 晶子氏とオンラインでつなぎ、「アラスカシーフードのサステナビリティ」と「新しい天然水産物の認証プログラム〜CSI認証〜」をテーマに、アラスカの厳格な管理体制のもとで行われる漁業について紹介。エコラベルの認知拡大を通じて、サステナブルなシーフードを選択する重要性を訴えました。

後半のセッションでは、ASCジャパン ゼネラルマネージャーの山本 光治氏、日本サーモンファーム株式会社の鈴木 宏介氏、株式会社ファームスズキの鈴木 隆氏、フィッシュ・アンド・プラネット株式会社の乗藤 紘吏氏が登壇し、それぞれが取り組む養殖業について発表しました。「サステナブルシーフード・サミット(TSSS)2025」と中継を交えて4名によるトークセッションが行われ、「環境を損なう養殖に意味はない」として、持続可能性を重視した養殖業の未来への思いが語られました。

サステナブルシーフード10年の軌跡を振り返る!/水産資源を枯渇に追いやるIUU(違法・無報告・無規制)漁業の終わらせ方

5日目の前半は、「サステナブルシーフード10年の軌跡を振り返る」をテーマに、サステナブルシーフード・サミットの第10回開催を記念して制作された動画を放映しました。

後半は、「水産資源を枯渇に追いやるIUU(違法・無報告・無規制)漁業の終わらせ方」をテーマに、2部構成のセッションを行いました。シーフードレガシーの花岡氏がモデレーターを務め、水産庁資源管理部の福田 工氏と、カナダ漁業海洋省のニーアル・オディー氏が登壇。IUU漁業への対策や両国の連携に関する取り組みを紹介しました。

続いて、WWF Japanの植松氏が民間団体によるIUU漁業対策について発表し、一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局の井植氏と花岡氏を交えたトークセッションでは、IUU漁業がもたらす環境・経済への影響を可視化し、政策提言や国際協調の必要性を訴えました。

サステナブル・シーフード どうやって選ぶ?

WWF Japanによる6日目のセッションでは、消費者が「選ぶ力」で海を守る方法を紹介。イントロダクションとしてWWF Japanの滝本 麻耶氏が、水産資源の37.7%が過剰漁獲状態にある現状を示し、「魚をどこで・誰が・どのように取ったかを知る“トレーサビリティ”」の重要性などを説明しました。

続いて、漁業現場から明豊漁業株式会社の松永 賢治氏と、株式会社ニッスイの伊平 翔氏、消費現場から株式会社きじまの杵島 弘晃氏が登壇し、それぞれが「漁業者の誇り」と「消費者の選択」が、資源を未来につなぐ実践例を共有しました。

さらに、マルハニチロ株式会社の佐藤 雄介氏が、トレーサビリティの先進的な取り組みを、日本生活協同組合連合会の松本 哲氏が、水産エコラベルの普及や養殖業改善プロジェクトを紹介。

幕間では、沖縄県在住お笑い芸人・YouTuberのせやろがいおじさん氏が、IUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)をユーモラスに解説するスタンドアップコメディを披露し、会場を沸かせました。

親子で知ろう!サステナブルシーフード

最終日の前半セッションでは、「おさかな小学校」と題した親子向けプログラムを開催しました。プログラムは、校長を務める鈴木 允氏が進行し、マグロ編には株式会社臼福本店の臼井 壯太朗氏、エビ編にはASCジャパンの川田 直美氏、スズキ編には一般社団法人伝統江戸前漁業を未来へつなぐ会の大野 和彦氏、タイ編にはグローバルシーフードアライアンスの芝井氏、ブルーシーフード編には一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局の井植氏が登壇しました。

各登壇者は、世界や日本の漁場を紹介しながら、マグロやエビなどがどのように獲られ、どんな人たちが関わっているのかを子どもたちに楽しく解説し、「食べることは海とつながること」というメッセージ発信しました。

サステナブルシーフードについて考える1週間の閉幕:2030年、世界の海と漁村と食卓は…

「選んで守る魚の未来Week」を締めくくるクロージングセッションでは、登壇団体が一堂に会し、1週間の成果を振り返りました。

一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局の井植氏をはじめ、ASCジャパンの川田氏、グローバルシーフードアライアンスの芝井氏、一般社団法人日本サステナブルシーフード協会の鈴木氏、WWF Japanの植松氏がシーフードレガシーの花岡氏と対談。参加者から寄せられたアンケートをもとに、登壇者らは発信したメッセージが多くの人々に届いていることを実感し、今後も海と魚の未来を守る共創の輪をさらに広げていく決意を語りました。


▼イベントの模様はYouTube〈BLUE OCEAN DOME 公式チャンネル〉で公開中です。ぜひご覧ください。

【#139】サステナブルシーフードについて考える1週間の開幕/ASC×ロバート・馬場のレシピと笑いと学び!(ZERI JAPAN/株式会社シーフードレガシー/ASCジャパン)#EXPO2025

【#140】子どもたちに伝えたいサステナブルシーフード(ZERI JAPAN/一般社団法人日本サステナブルシーフード協会)#EXPO2025

【#141】第6回ジャパン・サステナブルシーフード・アワード授賞式(ZERI JAPAN/株式会社シーフードレガシー)#EXPO2025

【#142】TSSS中継セッション:水産業における人権について〜魚と人の未来のために〜/映像で知る~豊かな海を守る活動~(ZERI JAPAN/GSA/WWF Japan)#EXPO2025

【#143】BLUE OCEAN DOME × TSSS 特別セッション/TSSS中継セッション:ASC認証と養殖業の未来(ZERI JAPAN/株式会社シーフードレガシー/GSA)#EXPO2025

【#144】サステナブルシーフード10年の軌跡を振り返る!/水産資源を枯渇に追いやるIUU(違法・無報告・無規制)漁業の終わらせ方(ZERI JAPAN/株式会社シーフードレガシー)

【#145】サステナブル・シーフード どうやって選ぶ?(ZERI JAPAN/WWF Japan)#EXPO2025

【#147】親子で知ろう!サステナブルシーフード(ZERI JAPAN/一般社団法人日本サステナブルシーフード協会)#EXPO2025

【#148】サステナブルシーフードについて考える1週間の閉幕:2030年、世界の海と漁村と食卓は…(ZERI JAPAN/株式会社シーフードレガシー)#EXPO2025