
9月13日(土)、BLUE OCEAN DOME総合プロデューサーの原 研哉氏、建築家で藤本壮介建築設計事務所 代表の藤本 壮介氏、ツネイシホールディングス代表取締役社長の神原 勝成氏、イシカワホールディングス代表取締役社長の石川 康晴氏による、「瀬戸内デザイン会議と「海島」の構想」と題したトークイベントが開催され、地域の産業と文化、そして未来の海洋利用をめぐる議論が展開されました。
トークセッションのテーマとなる「瀬戸内デザイン会議」は、瀬戸内地域の自然や文化、産業をテーマに、持続可能な未来を創造することを目的とした会議で、多様な視点から議論し、具体的な構想を広げています。
その議論から生まれた「海島(うみしま)」は、瀬戸内の海上に浮かぶ人工島でありながら、自然の島々と連続する“もう一つの瀬戸内”をつくる新しい構想で、原氏は、「「海に新しい島を浮かべる」という発想から始まり、次第に「海にもう一つの海を浮かべる」という、詩的で挑戦的なアイデアへと進化した」と紹介しました。



藤本氏は、設計のコンセプトについて「瀬戸内の穏やかな海の上に立っているような体験を提供したい」と語り、模型やCGを交えて、海島上の施設の構造を説明しました。海島は海面とシームレスにつながり、中に穴を開けて本物の海を取り込むなど、自然との一体感を重視した設計が特徴です。
また、神原氏は、造船技術の視点からプロジェクトの実現可能性について説明し、石川氏は企業経営者の立場から、プロジェクトの産業的・地域的意義について、瀬戸内の中小企業や造船関連企業との連携によって地域全体の活性化につなげられる点を強調しました。
さらに、海島構想は観光や宿泊だけでなく、国際会議や研究の拠点としての活用、災害時の避難拠点やフローティング学校、循環型農業の実験場としての可能性も示され、海島が多目的な未来型プラットフォームとしての役割を果たしていくと語りました。

イベントの最後に原氏は、日本列島の資源を守りつつ磨き、未来に向けて面白い価値を創造する重要性にも触れ、テクノロジー偏重の議論だけでなく、足元の自然と文化を活かす取り組みの必要性を訴え、締めくくりました。
▼イベントの模様はYouTube〈BLUE OCEAN DOME 公式チャンネル〉で公開中です。ぜひご覧ください。
【#118】瀬戸内デザイン会議と「海島」の構想(ZERI JAPAN)