〈8/24 Event Report〉TICAD9特別セミナー アフリカ開発会議 TICAD9成果報告と将来展望

8月24日(日)、「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)成果報告と将来展望」をテーマにした講演が開催されました。本講演では、笹川平和財団の小林 正典氏をはじめ、セネガル、ナイジェリア、リベリアなど西アフリカ諸国の代表者が登壇し、ブルーエコノミー(持続可能な海洋経済)の可能性と、日本とアフリカの連携の在り方について活発な意見交換が行われました。

イベント冒頭で小林氏は、8月20日から22日まで横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の成果を報告しました。同会議には日本政府関係者だけでなく、アフリカ諸国の首脳、企業関係者、市民団体などが幅広く参加し、投資・貿易・技術協力など多岐にわたる分野で交流が進められたことを紹介。最終的に採択された「横浜宣言」では、持続可能な経済成長、人材育成、海洋資源の保全など、日本・アフリカ間の新たな協力方針が示されたと説明しました。

続くトークセッションでは、アフリカ各国の若手リーダーたちが自国の現状と課題を語りました。セネガルから参加したセネガル ADEPME プログラム担当官のイブラヒマ・ファイ氏と、セネガル商工会メンバーのマイムナ・ンバイ氏は、自国が豊かな海洋資源を有する一方で、技術や資金の不足に直面している現状を指摘し、「私たちの国では中小企業を中心に水産業や加工流通の支援を進めている。日本の企業や団体と協力し、より高付加価値な産業へと発展させたい」と語りました。

ナイジェリア出身で大阪公立大学に在籍する大学院生のエルドゥー・ポーラ・アワイ氏は、ブルーエコノミーが食料安全保障や貧困削減に果たす重要な役割を強調しました。エルドゥー氏は、「ナイジェリアでは多くの人々が海洋資源に依存しており、日本の“SATOYAMAイニシアチブ”のような持続的な自然資源管理の考え方から学ぶことが多い」と述べ、人と環境が共に豊かになる仕組みを築く必要性を訴えました。

一方、リベリアビジネス協会 ビジネス開発専門官のアッバス・ラキス氏は、地域経済を考える際に「社会的ダイナミクスを理解することが不可欠」と語り、農業や漁業などの伝統的な知恵の中に、持続可能な開発のヒントがあると指摘しました。

後半は、アフリカ各国で深刻化しているプラスチック汚染問題にも焦点が当てられました。登壇者たちは、日本の高度なリサイクル技術とアフリカの若者の創造力を結びつけることで、新しい産業の創出につながる可能性を語ります。ナイジェリアでは、すでに若手起業家がプラスチック廃棄物を再利用し、家具やアクセサリーを製造する取り組みを始めていると紹介。エルドゥー氏は、技術協力による人材育成が、環境問題と雇用創出の双方を支える鍵になると訴えました。

ディスカッションの終盤では、「平和と安全保障」の視点からも連携の必要性が語られ、登壇者たちは、ガバナンスや教育、治安維持など、社会基盤の整備を通じたパートナーシップの重要性を強調しました。


 ▼イベントの模様はYouTube〈BLUE OCEAN DOME 公式チャンネル〉で公開中です。ぜひご覧ください。

【#104】TICAD9特別セミナー アフリカ開発会議 TICAD9成果報告と将来展望(ZERI JAPAN/笹川平和財団)