〈4/20 Event Report〉坂茂氏・原研哉氏・土井善晴氏 クロストーク

開幕から1週間が経った4月20日(日)は、BLUE OCEAN DOMEの建築設計を担当した世界的建築家・坂茂氏、総合プロデュースと展示を担当した日本を代表するデザイナー・原研哉氏、Dome Cの「海と山の超純水」の企画開発を担当した料理研究家・土井善晴氏、ZERI JAPAN理事長・更家悠介によるトークセッションを開催しました。「ブルーオーシャンドームが見せる未来」をテーマに、建築・展示のコンセプト、万博の持つ価値、そしてブルーオーシャンの未来について意見を交わしました。

BLUE OCEAN DOMEの建築と展示見どころについて、坂氏は、紙を建築構造に用いる自身の建築スタイルと、ドームの構造について解説しました。Dome Aは竹の集成材、Dome Bはカーボンファイバー、Dome Cは紙の素材で構成され、これからの建築への新しい挑戦であると強調しました。

原氏は、ドーム内の展示が水の循環や海洋汚染を直感的に理解できるようデザインされていると説明。特に、プラスチックごみによる海洋汚染の深刻さを伝える映像展示について詳しく語りました。土井氏は、料理研究家の視点から食と未来について語り、「海と山の超純水」の開発への経緯、自然との調和を表現する試みを説明しました。

4者によるトークセッションでは、2025年大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に触れ、坂氏は万博を新たな建築や技術の試みの場とするべきだと提言し、原氏は万博を通じて海洋問題への関心を高め、人々の行動変容を促すことの重要性を述べました。「資本主義の限界をどこまでシリアスに考え、海という重要なコモンズ(共有資源)を今後どうやってハンドリングしていくかということに、人類の全てがかかっていると思う。このパビリオンにはそういう想いが込められている」とBLUE OCEAN DOMEのテーマ、そしてポスト万博について語りました。

建築、デザイン、食文化の各分野からの視点が交差し、持続可能な未来社会を実現するためには、「ダイバーシティ(多様性)、インクルーシブ(包括的)、サステナビリティ(持続可能性)」という3つキーワードを軸に、分野を超えた協力と新たな価値観の共有が不可欠であることが示されました。その想いをBLUE OCEAN DOMEに込め、2025大阪・関西万博を契機に、これらの考え方が広く社会に浸透し、一人ひとりの行動変容を生む原動力となることを願いつつ、多様な分野の知見が融合する、実りあるトークセッションとなりました。


▼イベントの模様はYouTube〈BLUE OCEAN DOME 公式チャンネル〉で公開中です。ぜひご覧ください。

【#006】坂茂氏・原研哉氏・土井善晴氏 クロストーク(ZERI JAPAN)