〈9/25 Event Report〉Ocean CleanUP

9月25日(木)、海洋プラスチック問題の解決に取り組むオランダ発の非営利団体 The Ocean Cleanup(ザ・オーシャン・クリーンアップ)による講演イベントが開催され、これまでの成果とBLUE OCEAN PROJECT・対馬の今後の展望について語られました。

THE STORY OF THE OCEAN CLEANUP ON TACKLING PLASTIC POLLUTION/The Ocean Cleanup × BLUE OCEAN PROJECT × 対馬

イベント冒頭でVTR出演したThe Ocean CleanupのFounder・CEOであるBoyan Slat氏は、「私たちの使命は、世界の海からプラスチックをなくすことです」と力強いメッセージを送りました。また、The Ocean Cleanupの活動については、科学技術を“善の力”として活用し、河川や海におけるプラスチックごみの除去を進めていると説明し、これまでに約4,000万kgのごみを回収し、海に流れ込むはずだったプラスチックの2〜5%を阻止したと成果を報告しました。

講演に登壇したThe Ocean CleanupのGlobal Director of Public Affairs, Policy & Blue FinanceであるMonty Simus氏は、活動における2つの使命について紹介。1つは、すでに海洋に存在するごみの回収、もう1つは、河川から海への新たな流入を防ぐことだと話します。中でも、アメリカ・カリフォルニア州とハワイ州の間に広がる「太平洋ごみベルト」での大規模な回収プロジェクトと、世界9都市で河川から海への新たなプラスチックの流入を阻止する活動を説明しました。

また、Monty Simus氏は科学的なデータ分析の重要性についても強調しました。同団体の研究によると、世界の河川由来のプラスチックごみの約80%は、わずか1,000の川から発生しており、The Ocean Cleanupは河川ごとの特性に合わせた6種類のソリューションと技術を開発しています。ドローンや航空機、船舶に搭載したカメラを用いてごみを撮影・分析する「自動デブリ画像化システム」を活用し、プラスチックの分布や流れを可視化することで、最も効果的な回収ポイントを特定していると解説しました。

続いて登壇した対馬市SDGs戦略課 副参事兼係長の前田 剛氏は、「対馬では年間約8,000立方メートルの海洋ごみを回収しているが、再資源化率は約10%にとどまっており、残りの多くは分別できず、島の谷間に埋められている現状を明かしました。「大量生産・大量廃棄社会の裏側にある悲しい現実」と表現し、対馬の自然と課題を世界に発信する必要性を強調しました。

また、ZERI JAPAN理事長の更家 悠介は、プラスチック汚染の約9割が海外から流れ着いており、対馬では特に深刻であることを指摘しました。解決策の一つとして、対馬で回収される海洋ゴミに含まれる発泡スチロールを圧縮・再利用するプロジェクトを解説。今年中には発泡スチロールを圧縮・再利用できる機械を対馬に設置する予定で、島内でのごみ処理の効率化が期待されていると説明しました。

イベント終盤のトークセッションでMonty Simus氏は、「政府、企業、市民社会の三者が連携しなければ、大きな変化は起こせません」と語り、前田氏と更家 悠介も、海洋ごみ問題は一国だけで解決できるものではなく、国際的な協力が不可欠であることを訴えました。


▼イベントの模様はYouTube〈BLUE OCEAN DOME 公式チャンネル〉で公開中です。ぜひご覧ください。

【#132】Ocean CleanUP(ZERI JAPAN/The Ocean Cleanup)