
5月13日(火)〜16日(金)の4日間は、人の暮らしと密接に関わる船をテーマにした催事を行いました。講演では、ボート等で楽しむレジャーや船旅の魅力、DXを活用した船のスマート化について討論され、様々な視点から人やモノを運ぶ船の可能性について示しました。
ヤンマーがデザインする、これからのマリンカルチャー
ヤンマーホールディングス株式会社は、ヨットやボートのデザイン、水産研究などの視点からマリンカルチャーについて講演を行いました。デザイン部 部長の土屋 陽太郎氏、副部長の並木 育男氏が、世界各国のマリーナやヨットの違いのほか、日本のウォーターアクティビティの可能性を提示しました。


続いて、技術本部 中央研究所に所属する義川 滉太氏が、新たに挑戦する「ウニの陸上養殖システム」について講演を行い、海の資源減少に影響する地球温暖化の問題と、海の恵みに対する敬意の重要性を訴えました。


水辺の景色を変える、SUPER YACHT BASE KOBEの挑戦
5月14日(水)は、GLIONグループ マリーナ事業部 部長の谷 維人氏が、神戸のウォーターフロントエリアで開業予定のスーパーヨット特化型マリーナの開発や、新たな賑わい創出のための取り組みについて講演を行いました。GLIONグループでは、日本で初めてスーパーヨットが停留できるマリーナ「SUPER YACHT BASE KOBE」を2027年春にオープン予定。今年4月に神戸ストークスの新アリーナとなった「GLION ARENA KOBE」や、神戸空港の国際線就航で盛り上がるウォーターフロントエリアにおいて、日常的に水辺と人が触れ合えるコミュニティ・イベントなどを計画しています。


また、海外観光客からも人気が高いコンテンツである瀬戸内海をスーパーヨットで巡るツアーの玄関口となる神戸のマリーナは、陸・海・空が交差する新しいハブとして、海を起点に様々な楽しみ方を発信していく場所になっていくと谷氏は語りました。
クロージングトークでは、biid株式会社 代表取締役の松尾 省三氏を交えてのトークセッションが行われ、マリーナが単なる富裕層向けではなく、多くの人が集まる開かれたまちづくりのスタート地点となる必要性を主張しました。

中之島GATEサウスピアが目指す、海と川の交差点
biid株式会社 代表取締役の松尾 省三氏は、今年4月にオープンした「中之島GATEサウスピア」を軸に、水上交通拠点や海からの観光の将来像についての講演を行いました。biid株式会社は、これまで神奈川県や大阪府、瀬戸内海で、カフェやマリンスポーツ、グランピング宿泊施設などが入る複合型のマリーナ施設を運営し、港の活性化を追求してきました。今回、2025年大阪・関西万博の開催にあわせて、夢洲などの大阪ベイエリアと道頓堀や中之島など大阪市内の中心部をつなぐ都市型マリーナをオープン。5月下旬からは、船で万博会場に向かうパーク&クルーズの取り組みもスタートし、新たな交通手段として注目を集めています。


三井オーシャンクルーズが提供する【日本の美しい船旅】
5月15日(木)は、商船三井クルーズ株式会社の販売・マーケティング担当である山本 佳之介氏が、船旅の魅力について語りました。山本氏は、ラグジュアリーで高価なイメージの強いクルーズではあるものの、移動・宿泊費はもちろん、食事、エンターテインメント、アクティビティなど様々なサービスが費用に含まれているため、意外とお得に感じてもらえるはずと船旅の魅力を伝えました。


続いて2024年12月にデビューした三井オーシャンフジの船内設備や寄港地観光ツアーについて紹介がありました。全室が海側に面したスイートルーム、バスタブ付き、9割がバルコニー付きの快適空間に加え、食事や船内での過ごし方など、好みに合わせて旅のスタイルを選択できるのが魅力だとPRされました。戦前から続く日本スタイルのおもてなしを大切にしたサービスを通して、クルーズがより身近な旅の形として認知される機会となりました。
船の自動運転技術、未来と可能性
5月16日(金)は、誰もが海をもっと自由にというビジョンで、船の自動運転技術を開発する株式会社エイトノット代表取締役CEOの木村 裕人氏が登壇し、貨物船やフェリー、水陸両用バス、クルーザーといった多種多様な船舶が、多くの人の生活を支えていることを紹介しました。人類最古のモビリティとして、人類の進化と共に発展してきた船の技術を解説した後、船員不足、増加する操船事故、操縦の熟練度の課題を挙げ、これらに対応するための船のスマート化や自律航行船の実証実験を行なってきたとの報告がありました。こうしこうした律航行技術が搭載された船が増加することで、都市部の川や湾を運行する水上タクシーが新たな移動手段となり、船上ディナーやサンセットクルーズなど魅力的な水上体験によって、人々の暮らしが豊かになる。そうなることで、さらに自律航行技術の可能性が広がっていくと木村氏は予想しました。


▼イベントの模様はYouTube〈BLUE OCEAN DOME 公式チャンネル〉で公開中です。ぜひご覧ください。
【#028】ヤンマーがデザインするこれからのマリンカルチャー(ZERI JAPAN/ヤンマーホールディングス株式会社)
【#029】SUPER YACHT BASE KOBEの挑戦/中之島GATEサウスピアが目指す海と川の交差点(ZERI JAPAN/GLION GROUP/biid)
【#030】海に育てられた企業 FURUNO海洋DX(ZERI JAPAN/古野電気株式会社)
【#031】三井オーシャンクルーズがお届けする【日本の美しい船旅】(ZERI JAPAN/商船三井クルーズ株式会社)
【#032】船の自動運転技術の未来と可能性(ZERI JAPAN/株式会社エイトノット)
【#033】海事DXがもたらす船舶の未来と日印企業の協業について(ZERI JAPAN/株式会社中北製作所)