排出ギャップ報告書2024(エグゼクティブ・サマリー)日本語版

昨年11月にアゼルバイジャンで行われた国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の前に公表された「排出ギャップ報告書2024」(Emissions Gap Report 2024)の日本語版が公開されましたのでお知らせします。

実質10ページほどのサマリーの中で、9つの要点が挙げられています。それらを拾い出して、我流でひと言ラベルをつけてみました。

1. 「悪い新記録」
世界の温室効果ガス排出量は2023年に57.1GtCO2eの新記録を樹立、2022年レベルから1.3%増加

2. 「大きな格差」
主要排出国および世界各地域における現在の排出量、一人当たりの排出量、過去の排出量には、大きな格差がある

3. 「行動が不十分」
最初のNDC以降、野心と行動の進展は停滞し、各国は2030年に向けた世界的に不十分な緩和約束の達成軌道から依然として外れている

4. 「ネット・ゼロへ加速が必要」
G20メンバー国のネット・ゼロに向けた排出量予測は、懸念すべき理由を示している 

5. 「依然大きな排出ギャップ」
2030年と2035年の排出ギャップは、温暖化を1.5℃に抑える経路と2℃に抑える経路のいずれと比べても依然として大きい

6. 「後回しにすると慌てる」
2020年以降に失われた時間は、地球温暖化の予測を増加させ、ギャップを埋める可能性を減少させる

7. 「早い対応で活路を開く」
早急な行動が重要:条件付きNDCシナリオに基づく気温予測は、既存の政策に基づく予測よりも0.5℃低い

8. 「強力な国際協力が不可欠」
G20は、排出ギャップを埋める上で重要な責任を担っている。G20が世界平均よりも早く排出量を削減することは、費用対効果に優れ、かつ公平である

9. 「大胆な政策を迅速に」
2030年と2035年の排出削減ポテンシャルは相当なものだが、時間は短く、ポテンシャルを実現するには、根強い課題を克服し、政策、支援、資金を大幅に増強する必要がある

内容を見ると、足りないことばかりで楽観的になれるような情報はありませんが、自分ができることをやり続けていく他ありませんね。

詳しくはこちらをご覧ください。

地球環境戦略研究機関(IGES):
「排出ギャップ報告書2024(エグゼクティブ・サマリー):もう熱風はやめてくれ…頼む 
美辞麗句と現実の間に大きな隔たりがある中、各国が新たな気候変動公約を策定(日本語翻訳版)(3月)」