ウミガメ保護ハンドブック(環境省自然環境局、日本ウミガメ協議会)の「よくある質問」コーナーに「ウミガメは間違えて食べたゴミが原因で死んでいるのですか?」という問いがあります。答えには、「それは極々一部の例です」とあり、詳しい説明が続きます。
ウミガメ保護ハンドブック(p.30)
https://www.env.go.jp/content/900491148.pdf
あ、そうか、プラスチックを誤食してしまってもそれが直接の死因になるかどうかは簡単には言えないんだな、という気づきを得られました。専門家の話を聞くのは大切ですね。ただ、もう3年以上前の記事なんですが、こんな記事を読むとこれまた堪らない気持ちになってしまいます。
保護されたウミガメが1カ月以上プラごみ排出 海遊館(2021年7月15日産経新聞)
写真を見ると一目瞭然ですが、餌を食べられないまま体内から出てきたこのゴミの量に驚愕します。プラごみが直接の死因になるかどうかの問題ではなく、こんな状況が起こっていていいのかどうかの問題だよな…、と改めて感じますね。
さて、日本水産学会の主催で「水圏におけるマイクロプラスチックの汚染と生物に及ぼす影響と将来」というテーマでシンポジウムが開催されるのでご案内します。
名称: 令和7年度水産環境保全委員会シンポジウム
「水圏におけるマイクロプラスチックの汚染と生物に及ぼす影響と将来」
日時: 2025年3月29日(土)8:55〜17:30
会場: 北里大学相模原キャンパス/オンライン
主催: 公益社団法人日本水産学会 水産環境保全委員会
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
【 I. 汚染の現状 座長:大嶋雄治(九大院農)】
「プラスチックの環境劣化とマイクロプラスチック形成」
高原 淳(九大工)
「海洋における浮遊マイクロプラスチックの現存量と将来予測」
磯辺 篤彦(九大応力研)
「淡水河川域」
田中 周平(京都大学)
「海洋プラスチックの海岸・沈降過程」
日向 博文(愛媛大学)
「海洋流出マイクロプラスチックの物理・化学的特性に基づく汚染実態把握」
鈴木 剛(国環研)
「プラスチックと関連化学物質の生物蓄積」
高田 秀重・水川 薫子(東京農工大)
【 II. 水生生物における影響評価の取り組み 座長:大久保信幸(水産機構技術研)】
「環境省の取組概況」
長谷 代子・柳澤 俊輔(環境省水・大気環境局海洋環境課海洋プラスチック汚染対策室)
「水生生物を対象としたマイクロプラスチック粒子の影響評価に向けた手法の検討」
鍋谷 佳希(みずほリサーチ&テクノロジーズ)
「マイクロプラスチック共通試料を用いた毒性試験」
大嶋 雄治(九大院農)
「微細藻類および甲殻類曝露試験、底質曝露試験法の開発」
日置 恭史郎・南波 紀昭(国環研)
「魚類、二枚貝、大型藻類、および環形動物曝露試験」
羽野 健志・伊藤 真奈(水産機構技術研)
「種の感受性分布を用いたマイクロプラスチック粒子の有害性評価」
岩崎 雄一(産総研)
【 III. プラスチックゴミ削減に向けた取り組み 座長:東海 正(海洋大)】
「マテリアルフロー解析による水域へのマイクロプラスチック負荷量の推定 〜東京湾を例に」
小野 恭子(産総研)
「漁業資材のリサイクルと生分解性プラスチックへの代替化」
貝田 昂大・伊藤 翔・熊沢 泰生(ニチモウ)
「ライフサイクル思考で見るプラスチック資源循環」
中谷 隼(東工大/国環研)
【 IV. 総合討論】
詳しくはこちらをご覧ください。