今年1月30日に海洋研究開発機構と産業技術総合研究所の共同研究で、メタノールを生成する
微生物を発見したという発表がありました。
JAMSTEC:地下微生物はメタノールで飲みニケーション!? ~天然ガス成因のカギとなるメタノールを介した微生物共生を発見~(2025年1月30日)
ややこしいので箇条書きにしてみます。
・これまでに、メタノールからメタンを生成する「メチル利用アーキア(古細菌)」の存在は
知られていた。しかし、どこからメタノールを得ているのか、詳しく分かっていなかった。
・地下で有機物が分解されてできるギ酸。
・Zhaonellaというバクテリアはこのギ酸を利用する遺伝子を持っているのに、単独ではそれを利用できない。
・ところが、このZhaonellaと、メチル利用アーキアとを共生させたところ、Zhaonellaがギ酸からメタノールを生成していること、つまりメタノール生成バクテリアであることが分かった。
・そしてこのメタノールを利用して、メチル利用アーキアがメタンを生成していた。
つまり、二つの微生物が一緒になってワイワイやってるなかでメタンが出てきた、ということ
なんですね。
この成果を踏まえて今後の展望が書かれていますので、引用します。
特に近年では、地下圏の微生物活性を制御・促進することで低質石炭や枯渇油田に残存する原油をメタンに変換し回収する、微生物炭層ガス増進回収技術や微生物石油増進回収技術が注目を集めています。本研究の成果は、そのような技術に必要な基盤的知見を提供することで、新しい地下エネルギー資源の有効活用技術の開発に繋がると期待されます
こんな微小な世界の話ですが、そのインパクトは大きなものになりそうですね。
さて、微生物の研究でノーベル医学生理学賞を受賞した大村智氏も登壇するシンポジウムが開催されますのでご案内します。
名称:公開シンポジウム「わたしたちの食をまもる植物保護科学の未来」
日時:2025年3月11日(火)13:30~17:05
会場:東京大学/オンライン
主催:日本学術会議農学委員会植物保護科学分科会
参加費:無料
主な内容:下記HPより抜粋
総合司会 水口 智江可(名古屋大学大学院生命農学研究科准教授)
○ 開会の挨拶
松田 一彦(日本学術会議連携会員/近畿大学農学部応用生命化学科教授)
【第1セッション「植物保護におけるリスク評価と判断」】
・『ほんとうの「食の安全」を考える』
畝山 智香子(国立医薬品食品衛生研究所客員研究員)
・『「AI for Science 研究はAI研究にあらず」
: 理研における AI for Science、特に生成AIの科学への適用を目指す TRIP-AGIS』
松岡 聡(理化学研究所計算科学研究センターセンター長/東京科学大学情報理工学院特定教授)
【第2セッション「植物保護と人類」】
・『植物が乾燥から身を守るしくみの解明と育種への応用』
篠崎 和子(東京農業大学総合研究所教授/東京大学名誉教授)
・ 『微生物と歩んだ半世紀 -人類の福祉と保健の向上にむけて-』
大村 智(日本学術会議栄誉会員/日本学士院会員/北里大学特別栄誉教授)
総合討論
松本 宏(日本学術会議連携会員/筑波大学名誉教授)
閉会の挨拶
與語 靖洋(公益財団法人日本植物調節剤研究協会研究所技術顧問)
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