日本でも世界でも、水素を動力源にした鉄道車両の開発が進んでいます。いくつかの動きを拾ってみました。
2018年9月:世界初の水素動力車両がドイツで運行開始。
2022年3月:日本でJR東日本が試験用水素車両(愛称「HYBARI」「ひばり」)による実証実験開始。
2024年3月:フランスが水素動力車両の評価試験を開始。2025年の商業運行を目指す。
2024年8月:アメリカで最初の水素動力車両の運行開始。
現在 インドが世界最高の馬力を持つ水素動力車両を開発し、2025年に試験運行開始予定。イギリスも試験を継続中。
このように(水素と酸素を反応させて発電する)燃料電池でモーターを駆動する車両が開発・実用化されていく中、JR東海が開発を進めてきたのが、水素を燃焼させて動かす「水素エンジン」を使った車両です。水素エンジンで発電し、その電気でモーターを回して車輪を動かします。水素エンジンは耐久性、出力密度、高負荷域での効率が高く、燃料電池より低い水素純度であっても運転できるという優れた特徴があります。
去年11月の段階で、水素エンジンと発電機・車両制御装置・蓄電池を組み合わせた「水素ハイブリッドシステム」の試作機が完成し、性能評価試験・模擬走行試験へと進んでいます。
JR東海:カーボンニュートラル実現に向けた「水素動力車両」の開発状況 水素エンジンハイブリッドシステムの開発について(2024年11月26日)
2028年から2030年頃の実用化を目指しています。鉄道で実用化されれば世界で初めてのケースとなるそうなので、ぜひ成功して欲しいですよね。
さて、交通分野での脱炭素に関するシンポジウムが開催されるのでご案内します。
名称: 交通脱炭素シンポジウム III「水素の利活用による交通分野の脱炭素化
~地域から未来をつなぐ脱炭素への道~」
日時: 2025年3月4日(火)14:00~17:00
会場: ベルサール御成門駅前(港区)/オンライン
主催: 一般財団法人運輸総合研究所
参加費: 無料
主な内容: 下記HPより抜粋
○開会挨拶
宿利 正史 運輸総合研究所 会長
○基調講演
「国土交通省における水素関係政策(仮)」
清水 充 国土交通省総合政策局環境政策課長
○研究報告
「我が国の交通分野の脱炭素化に向けた燃料転換及び水素利用に関する調査研究」
小御門 和馬 運輸総合研究所 研究員
○パネルディスカッションおよび質疑応答
モデレーター:
・三宅 淳巳 横浜国立大学 上席特別教授・名誉教授
パネリスト:
・青沼 裕 ジャパンハイドロ株式会社 CEO
・大道 修 東日本旅客鉄道株式会社 イノベーション戦略本部 R&Dユニット 水素社会実装PT マネージャー
・田口 悦司 一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会 担当部長
・三浦 慎一朗 福岡市 経済観光文化局 新産業振興部 水素推進担当課長
・小御門 和馬 運輸総合研究所 研究員
○閉会挨拶
上原 淳 運輸総合研究所 理事長
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