WadiとWadi

ペトラ遺跡。ヨルダンにある世界遺産で、映画「インディ・ジョーンズ」のロケ地としても有名です。人気の観光地ですが、ここで2018年に鉄砲水が発生し日本人観光客が危うく流されそうになったことがあったそうです。

アフリカ大陸やアラビア半島などにある砂漠地帯・乾燥地帯には「ワジ」(Wadi)と呼ばれる「涸れ川」があります。普段は干上がっていて人々が往来できるほどなのですが、大雨が降るとあっというまに川になってしまいます。ペトラ遺跡のある地域にはワジがいくつも通っているため、こうした鉄砲水は時々起こるようです。京都大学防災研究所の資料によると、アラブ諸国ではこうした洪水が増える傾向にあり、特に2010年以降は多くなっています。

この「Wadi」と同じ綴りで別の意味の言葉があるのを知りました。オランダ語で水の排水や浸透を表す”Water, Afvoer, Drainage, Infiltratie” の略語としてのWadiです。大雨時などに排水溝で流しきれない雨水を引き入れて浸透・排水させるために設置した植栽とその水路を指していて、英語ではバイオスウェイル(bioswale、生物湿地)と呼ばれています。

英語のサイトですが、写真と図がみられるので、一度ご覧いただければ「あ、こういうことね」とすぐに納得がいくと思います。
https://urbangreenbluegrids.com/measures/bioswales/

単に集水するだけでなく、土壌を通すことで水の濾過・浄化の効果もある点も評価されています。気候変動によって豪雨が多くなる傾向にありますが、とくに水の逃げ場のない都市部ではこうした対策がますます必要になりそうですね。

しかしそれにしても気になります。「涸れ川」のWadiと、こちらのWadi、どちらも水の通り道ですよね。単なる偶然なのか、それともちょっとアラビア語に寄せてみたのか、名付けた人に聞いてみたいですね。

さて、そんなWadiの話も出てくる講演会をご案内します。

名称: 海外情報講演会「オランダの公共空間における気候変動への対応」
日時: 2024年12月17日(火)17:00~19:00 
会場: オンライン 
主催: World Urban Parks ジャパン (一財)公園財団
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

World Urban Parksジャパンと(一財)公園財団は、令和6年12月17日(火)、令和6年度海外情報講演会「オランダの公共空間における気候変動への対応」をオンラインにて開催いたします。今年WUP世界大会が開催されたオランダは、国土の4分の1が海面より低く、気候変動による海水面上昇や、集中豪雨や干ばつへの対応が課題となっています。
本講演会では、それらの課題に対し解決策の1つとして公園等の公共空間をどう整備し管理しているのかについてのご講演と、WUP世界大会(開催地:ユトレヒト市)のご報告をいただきます。

【講演1】「居場所づくりとインフラ機能が両立するデザイン」
大野 暁彦 
名古屋市立大学大学院芸術工学研究科准教授 /
株式会社 エスエフジー・ランドスケープアーキテクツ代表取締役

【講演2】「Wadi : アムステルダムに広がる緑の水路」
馬淵 大樹 
アムステルダム市 Space and Sustainability部 Public space designer
オランダ国登録ランドスケープアーキテクト

【質疑応答】
World Urban Parks 世界大会報告
竹田和真 
WUPJ指名理事 / 大阪産業大学准教授

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