プラスチック汚染 国際的合意に至らず

あの時の熱気を思うと、少し残念です。

もう2年以上前のことになります。2022年3月16日のニュースレターで「プラスチック汚染問題の解決に向けて 歴史的瞬間」とお知らせしていたことがあります。

これは国連環境総会で、プラスチック汚染の終結を目指した政府間交渉委員会(Interim Negotiating Committee, INC)を立ち上げ、2024年末までにプラスチック汚染について初めて法的拘束力のある国際文書(協定)を策定することを目標に定めた、という話でした。

国連環境計画のざっくりした推定値によると、川や海に流れ込む廃棄プラスチックは、年間約1,100万トン前後(2016年)。これが2040年までには3倍ほどの約2,900万トン前後になると言われています。2040年なんて、あと16年後のことですから、いま小学生の子供たちが大人になる頃には今の3倍のペースで汚染が進むということです。いやもう、自然界にとっても人間社会にとっても大変な脅威ですよね。この巨大な問題に対処すべく、政府間交渉委員会が今年春までに4回行われて来ました。

第1回はウルグアイ(2022年11~12月)で行われ、第2回はフランス(2023年5~6月)、第3回はケニア(2023年11月)、第4回はカナダ(2024年4月)。そして第5回目の会議が11月25日から韓国の釜山で行われました。しかし残念ながら条文案の合意には至らず、12月1日の閉会を迎えてしまいました。

NHK:プラスチックめぐる国際条約 合意見送り 各国の隔たり埋まらず(2024年12月2日)

170を超える国の代表者、440を超える団体のオブザーバーを含む3,300人以上が集まった非常に大きな国際会議でした。廃棄プラスチックによって社会的に大きな実害を被っている国もあれば、原料の石油を産出する国もあります。生産量を規制するか否かひとつとっても考えは大きく異なりますから、調整も大変ですよね。

今回は残念でしたが、しかしこれで話し合いは終わったわけではなく、関係各国は今後も協議を続けることには合意していますので、これからも見守っていきたいですね。

さて、この国際会議に関するセミナーが行われますのでご案内します。

名称: 環境セミナー「プラスチック汚染に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会(INC)の成果」
日時: 2024年12月17日(火)15:00~16:30 
会場: オンライン
主催: 特定非営利活動法人 日本環境倶楽部(JEC)
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

2022年3月に第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)において、海洋等の環境におけるプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)を策定するための政府間交渉委員会(INC)を設置する決議が採択されました。INCはこれまで4回の開催があり、2024年末までの条文策定を目指していくことが合意されています。

本セミナーでは、最終の委員会となるINC5(2024年11月25日~12月1日@韓国・釜山)での主要の論点である条約の目的及び年限目標、一次プラスチックポリマーの生産制限、懸念のある化学物質・ポリマー・問題のあるプラスチック製品の規制等に関わる交渉結果を確認・共有し、参加企業様の事業活動に資するものと致します。

「プラスチック汚染に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会(INC)の成果」
小林 豪(こばやし ごう)様
環境省 水・大気環境局 海洋環境課 プラスチック汚染国際交渉チーム長

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