毎年、気候変動枠組条約締約国会議に合わせて、「気候変動について今伝えたい、10の重要なメッセージ」(The 10 New Insights in Climate Science)が公表されています。
最新の研究を含む科学的知見をまとめた報告書で、Future Earth、The Earth League、World Climate Research Programme (世界気候研究計画)が共同で作成しています。今年は45カ国の80人の研究者が執筆に参加しました。
今年はどんなメッセージが書かれているのでしょうか?以下に簡単に書いてみます。
1. メタン濃度が急上昇しています。排出削減のための強制力のある政策が不可欠です。
2. エアロゾルと気候の複雑な相互作用を考慮すると、大気汚染の削減は、緩和と適応に影響を及ぼします。
3. 気温上昇により、地球上のより多くの地域が居住不可能になっています。
4. 気候の極端現象は、母親や生殖に関する健康を害しています。
5. 温暖化する海洋によってエルニーニョ・南方振動および大西洋南北循環についての懸念が増しています。
6. 生物文化多様性は、気候変動に対するアマゾンの回復力を強化できます。
7. 重要なインフラは気候関連ハザードにさらされるリスクが高まっており、相互接続されたネットワーク全体で連鎖的な混乱のリスクがあります。
8. 都市における気候に強い開発のための新しい枠組みは、共同利益を引き出すためのアイデアを意思決定者に提供します。
9. エネルギー移行鉱物のグローバルなバリューチェーンにおけるガバナンスギャップを埋めることは、公正かつ公平なエネルギー移行にとって極めて重要です。
10. 気候政策に対する国民の受け入れ(または抵抗)は、公平性に対する認識に大きく左右されます。
今年10月に来日した、ポツダム気候影響研究所所長でプラネタリーバウンダリーに関する研究の第一人者でもあるヨハン・ロックストローム博士はこのようにコメントしています。
「この報告書は、世界が地球規模の課題に直面していることを確認しています…しかし、明確な道筋と解決策も提供しており、緊急かつ断固とした行動を取れば、手に負えない結果を回避できることを示しています」
政策決定者だけでなく、私たち一人ひとりが知り、考え、日常の中でできることを行うことが大切ですね。
さて、先日アゼルバイジャンで行われたCOP29に関する報告シンポジウムが行われますのでご案内します。
名称: COP29報告シンポジウム
日時: 2024年12月13日(金)13:30~16:20
会場: オンライン
共催: 一般財団法人 地球産業文化研究所(GISPRI)、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
【開会挨拶】武内 和彦 公益財団法人 地球環境戦略研究機関 理事長
【COP29報告】(*発表者変更の可能性あり)
・松井 宏樹 外務省 国際協力局 気候変動課長
・小沼 信之 環境省 地球環境局 気候変動国際交渉室長
・木村 範尋 経済産業省 GXグループ 地球環境問題交渉官
・坂下 誠 農林水産省 大臣官房みどりの食料システム戦略グループ地球環境対策室長
【質疑応答】(事前質問に対する回答形式)
モデレーター
・前川 伸也 一般財団法人 地球産業文化研究所 地球環境対策部 部長
パネリスト
・松井 宏樹 外務省 国際協力局 気候変動課長
・小沼 信之 環境省 地球環境局 気候変動国際交渉室長
・木村 範尋 経済産業省産 GXグループ 地球環境問題交渉官
・坂下 誠 農林水産省 大臣官房みどりの食料システム戦略グループ地球環境対策室長
【閉会挨拶】蔵元 進 一般財団法人 地球産業文化研究所 専務理事
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