2026年に水素のみで飛ぶ飛行機の商用運航が始まるようです。アメリカとイギリスに拠点を持つゼロアビア社(ZeroAvia, Inc.)は水素燃料電池でプロペラを回す動力ユニットを製造しています。ZA-600というユニットは10~20人乗りの航空機を飛ばせる力があります。新しい飛行機を作るのではなく、DHC-6ツイン・オッター、ドルニエ228、セスナ208Bグランド・キャラバンといったすでに世界で広く使われている航空機のエンジンをこの動力ユニットに乗せ替えて利用します。
就航が予定されているドルニエ228(19人乗り)を使った機材の航続距離は560km。通常エンジンの時の航続距離は1,000kmほどなので、その約半分くらいですが、それでも東京~大阪間なら一気に飛べる距離ですから、すごいですね。
2023年1月、ゼロアビア社はイギリスでドルニエ228の左翼エンジンだけを水素燃料電池ユニットに乗せ替えてテスト飛行を行いました。この時の飛行時間は10分と短かったものの、燃料電池を搭載した航空機としては最大の歴史的な飛行となりました。
ライト兄弟が1903年に有人動力飛行に初めて成功した時も飛行時間は12秒と短かったのですが、その歴史的意義はとても大きなものでした。この10分という飛行時間もまた航空史に残る重要な瞬間として記憶されるのでしょうね。
一方、日本では今月、川崎重工が世界で初めて水素100%の発電用大型ガスエンジンの燃焼試験に成功したという発表がありました。
川崎重工:世界初、5MW以上の大型ガスエンジンにおける水素100%燃焼技術を開発(2024年10月16日)
水素は燃焼温度が高いため、異常燃焼や部品の早期劣化という技術的な課題がありましたが、そこをクリアして成功したということです。
すこしずつ、水素社会が近づいていることを感じますね。
さて、「ロシアの環境・脱炭素政策」というあまり目にすることのない珍しいテーマのセミナーがありますので、ご案内します。
名称: セミナー「ロシアの環境・脱炭素政策の新たな様相」
日時: 2024年11月12日(火)16:30~18:00
会場: オンライン
主催: 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター
「国際的な生存戦略研究プラットフォームの構築」プロジェクト
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
「ロシア金融市場のグリーン化:中央銀行と暗号資産に焦点を当てて」
山脇大(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター客員准教授)
「ウクライナ侵攻で迷走するロシアの脱炭素政策」
原田大輔(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)
エネルギー事業本部企画調整部企画課長)
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