ゴミ・フン・シロアリ トリオで砂漠を緑化

西アフリカ、サハラ砂漠南部にあるニジェール共和国。ナイジェリアとの国境近くにあるダンダグンという農村には「ラクダ5年、ヤギ・ヒツジ3年、ウシ2年」という言葉があります。なんだか「桃栗三年柿八年」みたいな響きがありますが、これはそれぞれの糞が肥料としての効果を持続する期間のことです。

この村では、痩せた土地の土壌を回復させるためにひとつの工夫をしてきました。雨季の後で移動してきた牧畜民と契約し、その土地に一定期間家畜のキャンプを張ってもらい、しっかり糞を落としてもらうのです。ラクダの糞は効果が長期間持続するので、牧畜民に支払う報酬も高くなるそうです。なにしろ5年も使えるんですから、納得ですね。

もう一つの工夫は、あらゆる家庭ゴミを痩せた土地にばら撒くこと。「え、ゴミをばら撒くの!?」と驚いてしまいますが、そこにはやがてシロアリがやってきて巣を作りはじめます。シロアリは有機物を分解する能力が高く、また彼らのアリ塚には土壌養分の貯蔵効果があり、地球上の養分循環で大きな役割を担っていると言われています。

シロアリがやってくることで硬い土壌に開けられた無数の巣穴が透水性を高め、
土壌養分の含有量が増えます。村人は生ゴミなどの有機物だけでなく、プラスチックや鉄製品など、ほとんど分解しないものも含めてそこに捨てますが、これらが障害物となって土壌水分の蒸発を防いだり、シロアリを捕食動物から守ったり、平坦な地面に起伏をつくって風で飛んでくる砂塵や有機物をキャッチしたりする効果があります。

土壌の改善にシロアリが大きな役割を果たしていることを村人たちは知っていました。日本では「シロアリは徹底的に駆除!油断は禁物!」というイメージが強いので、いやぁ面白いものですね。

2000年から現地でフィールド調査をしていた大山修一氏はこうした村人たちの知恵を知り、やがて都市の生ゴミと家畜の糞を砂漠の緑化に活用するプロジェクトを始めました。ゴミや糞の中に含まれている種子が発芽し、1年目には作物が育ち始め、家畜が食べる草本も育ち、5年もすると樹木も育つ緑地に姿を変えます。

こちらの記事の中で、土地が変わっていく様子が見られます。

JSTORIES:干ばつや気候変動で砂漠化するアフリカを都市のゴミで緑化

気候変動や干ばつの影響で牧畜民にとっても農耕民にとっても、利用可能な牧草地や農地が減少しています。そのために両者の間に緊張関係が生じていて、地域紛争にも繋がっています。人口が肥大化する都市ではゴミ処理が追いつかず、ただただ山積みにされたゴミが放置されて衛生環境が悪化しています。

都市ゴミを砂漠の再生に活用することは、このような状況の改善につながると期待されています。2021年から3年間、JICA草の根技術協力事業「ニジェール共和国ニアメ首都圏における有機性ゴミによる緑化活動」が行われました。大山氏は2023年2月、「松下幸之助花の万博記念賞」の記念奨励賞を受賞し、同年4月からは総合地球環境研究所でゴミの分別や有害物質の検査体制の研究にも取り組んでいます。

農村で作られた作物が都市へ。都市の有機ゴミが砂漠へ。有機ゴミと家畜の糞によって砂漠が牧草地・農地へ。これもまたひとつの物質循環のカタチなんですね。

さて、埼玉グリーン購入ネットワークの主催で、容器・包装分野のサーキュラーエコノミーについてのセミナーが開催されるのでご案内します。

名称: オンラインミニセミナー「~容器・包装分野のサーキュラーエコノミー推進~」
日時: 2024年10月30日(水)15:30~17:00 
会場: オンライン 
主催: 埼玉グリーン購入ネットワーク

参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

【容器・包装分野のサーキュラーエコノミー推進に関する取り組み事例紹介】
「廃棄ストレッチフィルムを使用した資源循環型製品「とってもエコなゴミ袋」の開発」
スーパーバッグ株式会社(第24回グリーン購入大賞 優秀賞受賞)

「無駄を生み出さない包装資材(Polyecolene)。地上資源の有効活用」
和光紙器株式会社

「ペットボトルキャップ回収とリサイクルの取り組み」
進栄化成株式会社

【質疑応答・意見交換】

詳しくはこちらをご覧ください。