陸上風力発電 自然環境への影響

アフリカ東部、ケニア。北西部は乾燥した大地が広がっていて、そこに琵琶湖の10倍近い面積を持つトゥルカナ湖があります。周囲の陸地の気温変化と湖の水温変化の違いにより、湖周辺では常に強い風が吹いています。この特徴を活かして、2014年にアフリカ最大規模の風力発電施設の建設が始まり、2018年には国全体をカバーする送電網に接続されました。現在、ケニアの電力需要の約14%を満たし、120万世帯に電力を供給しています。

動画:Lake Turkana wind farm in Kenya is one of the best wind sites in the world

ちょっとだけ動画を見ていただくと分かりますが、ほとんど不毛の大地に林立するタワーが壮観です。森もなければ住宅も見当たらないので、一見「こんな場所なら、なんの問題もなさそうだな?」と思ってしまうのですが、それでも建設用地の獲得過程において地域住民との間に十分な話し合いが行われていなかったり、強制的な移住が行われたなど、深刻な問題があります。社会というのは、なかなか難しいものです。

こんな場所でも問題があるくらいなので、日本の陸上風力発電について問題点があっても少しも驚きではありません。日本自然保護協会が、大型の陸上風力発電計画の自然環境影響レポート2024を公表しました。

日本自然保護協会:大型陸上風力発電計画の自然環境影響レポート2024

具体的に事業者名や場所の名前が出ていて、それぞれの事業について「自然環境への配慮状況」の偏差値が付けられています。学力だったら偏差値は高い方がいいのですが、この偏差値については、高ければ高いほど「配慮を欠いている」ことを示しているので、ご注意ください。

自然への配慮は進んでいる傾向にあるようですが、今後の推移に注目していきたいですね。