世界の森林の炭素吸収力 なんとか、やっと、ぎりぎり

東京大学と森林総合研究所も参加した国際研究チーム(日本、アメリカ、イギリス、中国、フィンランド、スウェーデン、オーストラリア、ロシア、カナダ、オーストリア、インドネシア)が、過去30年間の地球上の森林の炭素吸収量を調べました。

東京大学:世界の森林の炭素吸収力は過去30年維持されてきた
~今後さらなる取り組みが必要:国際研究チームによる解析~

7月に公表された研究結果によると、世界の吸収力は現在「かろうじで維持されている」ということが分かりました。1990年代と2000年代に年3.6ギガトンあった吸収力は、2010年代に3.5ギガトンになったということで、全体としては大きな変化はありません。

しかし、その内訳を見るとなかなか凄まじい変化があります。森林の種類と過去30年間の変化は、
・温帯林:       +30%
・再生された熱帯林:  +29%
・熱帯原生林:     -31%
・北方林:       -36%
となっています。中国では大規模な植林が進んでいて、そのことが温帯林での増加に大きく寄与しているようです。しかし北方林の「マイナス36%」というのは、なかなか深刻です。おおざっぱに言えば、4割くらい消えているということですから。

日頃見かける森林破壊や山火事などのニュースの印象が強いので、この30年間で炭素吸収量は相当減っているのではないかと想像していました。実際のところは、全体をみるとわずかな減少でおさまっています。しかし、これからも森林保護と再生に力を入れていかなければ、こうしてぎりぎり維持されている吸収力なんか、あっという間に落ち込んでしまいそうですよね。

さて、世界中のどの国もエネルギーをめぐる安全保障に敏感になってきました。ますます不確実性が高まっています。こうしたことがテーマのシンポジウムが開催されますのでご案内します。

名称: 国際シンポジウム「不確実性を高めるエネルギー安全保障と地球温暖化をめぐる国際情勢」
日時: 2024年9月17日(火)13:00~17:00 
会場: 東京大学/オンライン 
主催: 東京大学公共政策大学院(GraSPP)
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 (日英同時通訳)
○オープニング
川口大司 東京大学公共政策大学院院長

○来賓挨拶
橘高公久 (株)INPEX特別参与/ (株)INPEXソリューションズ専務取締役

【第1セッション】
「不確実性をます世界のエネルギー安全保障状況」
基調報告+モデレーター: 
小山堅 日本エネルギー経済研究所専務理事 / 東京大学公共政策大学院客員教授

パネリスト:
・ジェイソン・ボルドフ 米国コロンビア大学気候変動研究大学院(クライメートスクール)初代共同学院長 / 同大学国際公共政策大学院・グローバル・エネルギー政策センター初代所長
・ピーター・ウッド シェル チーフ エネルギー アドバイザー
・松尾 博文 日本経済新聞コメンテーター兼上級論説委員

【第2セッション】
「1.5℃目標の実現可能性」 
基調報告+モデレーター:
有馬純 東京大学公共政策大学院特任教授

パネリスト:
・インドラジット・ボース サード ワールド ネットワーク 気候変動シニア リサーチャー
・ロジャー・A・ピールケ・ジュニア 米国コロラド大学 ボルダー校 教授
・本部 和彦 東京大学公共政策大学院客員研究員

○ラップアップ
「不確実性の下で日本のめざすべきエネルギー戦略の方向性」
小山客員教授、有馬特任教授によるトークセッション

司会進行: 殿木久美子 東京大学リサーチ・アドミニストレーター

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