南極の「熱波」

今年も相変わらず暑い夏でしたが、南極も例外ではなかった、いや、むしろ例外的な暑さだったようです。

CNN:南極大陸で「驚異的な」熱波続く、平年を10度上回る地域も(2024年8月9日)

そのまま一部を引用しますと「7月中旬以降、南極大陸では気温が平年を約10度上回る地域もあり、季節外れの暖かさは8月前半まで続く可能性がある。最も異常な状況が続いているのは東南極の一部で、通常の平均気温は零下約50度から60度の間だが、現在は零下約25度から30度の間に近づいている」とあります。

「まあでも、まだまだマイナス気温なんだから、氷が溶けるわけじゃないもんな…」と思ってしまいますが、安心してはいけないようです。

冬に北極・南極の成層圏をぐるぐる回る強い気流があり、「極渦」(きょくうず)と呼ばれています。この極渦は、冷たい空気を上空に閉じ込めるような働きをしています。しかし、極地の成層圏の気温と気圧が急速に上昇して極渦が不安定になることがあります。そうなると冷たい空気が通常よりも低緯度に、暖かい空気が通常よりも高緯度に流れ込むという現象が起こります。「成層圏突然昇温」(Sudden stratospheric warming, SSW)です。これが起きている、という報道もあります。

The Watchers: Rare Sudden Stratospheric Warming event detected over Antarctica(2024年7月15日)

南極だけにとどまらず、地球の広範囲の気候に影響が及ぶ可能性を孕んでいますから、今後の動きに注意したいところです。

さて、「IPCC第7次評価報告書に向けて」というテーマでシンポジウムが行われるのでご案内します。

名称: IPCCシンポジウム「IPCC第7次評価報告書に向けて
     ~暑すぎる地球で暮らす私たちにできること~」

日時: 2024年9月12日(木)14:30~17:30 
会場: 虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区)/オンライン 
主催: 経済産業省、文部科学省、気象庁、環境省
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

1. ビデオメッセージ
  ・Jim Skea (IPCC AR7 議長)
          インペリアル・カレッジ・ロンドン大学 教授

2. 基調講演1
  ・Winston Chow (IPCC AR7 WG2  共同議長)
   シンガポールマネジメント大学 教授
  基調講演2
  ・Ladislaus Chang’a  (IPCC AR7 副議長)
   タンザニア 気象庁
  基調講演3
  ・Bart van den Hurk (IPCC AR7 WG2 共同議長)
   アムステルダム自由大学 教授
  基調講演4
  ・調整中(IPCC WG3関係者)

3. パネルディスカッション
  「行動を促すIPCC評価報告書にするには何が必要か」
    モデレーター:
  ・沖 大幹(東京大学大学院工学系研究科教授(IPCC AR6 WG2第8章査読編集者)
  パネリスト:
  ・Ladislaus Chang’a (IPCC AR7 副議長)
  ・Bart van den Hurk (IPCC AR7 WG2共同議長)
  ・調整中(基調講演4の講演者)
  ・榎 剛史(IPCC AR7 TFI 共同議長)
  ・小坂 優(東京大学先端科学技術研究センター准教授 IPCC AR6 WG1第3章主執筆者)
  ・森田 香菜子(慶應義塾大学経済学部 准教授、IPCC AR6 WG3第15章主執筆者)

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