二日目のカレーと「生きたプラスチック」 

東京都保健医療局のHPに「二日目のカレーが好きなのですが、食中毒の危険があると聞きました。本当ですか?」という質問があります。うーん、確かに、これは聞いたことがあります。回答を見ると、危険があるのは本当で、これは自然界に広く存在するウェルシュ菌がカレーの中にもいて、加熱調理しても「芽胞」(がほう)という殻を作って生き残るためだと分かります。どうやらこの芽胞、100℃で6時間加熱しても耐え抜き、温度が下がって適温になったら、ニコニコしながらかどうかは分かりませんが、とにかく活発に増殖するそうです。細菌、恐るべしです。

この「芽胞」という特性を利用して廃棄プラスチック問題に取り組む研究が世界で行われています。そのうちの一つが、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが作った「生きたプラスチック」です。

UC San Diego Today: Biodegradable ‘Living Plastic’ Houses Bacterial Spores That Help It Break Down(2024年4月30日)

枯草菌は、プラスチックポリマーを分解できる細菌ですが、遺伝子操作によってこの細菌の芽胞の耐熱性を向上させることに成功。それを練り込んでプラスチックを作ることができました。通常のプラスチックよりも強度が高いのですが、水と栄養素に触れると枯草菌が発芽して、プラスチックを分解し始めます。温度37℃、相対湿度44-55%の条件下で、5カ月以内に90%が分解されました。

周囲にプラスチックを分解できる微生物がいなくても、分解できるというわけです。自分の後始末は自分でする、いわば分解装置内蔵型プラスチック。気持ちのいい話ですね。どの程度まで分解できているのか、もっと違う環境下でもしっかり分解できるのか、まだまだ研究する必要がありそうですが、自然界の不思議な力を応用した技術で、面白いですね。

さて、「生物多様性と企業活動」というテーマでセミナーが行われますのでご案内します。

名称: 「企業のための生物多様性セミナー」第1回生物多様性と企業活動
     ~TNFD、自然共生サイトなど生物多様性をめぐる状況~

日時: 2024年9月12日(木)9:30~12:15 
会場: キャンパスプラザ京都(京都市)/オンライン 
主催: きょうと生物多様性センター運営協議会、京都商工会議所
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

主催者挨拶:
湯本 貴和 (きょうと生物多様性センター センター長、京都大学名誉教授)

【第一部】基調講演
「なぜ企業が生物多様性なのか? ~企業がいまもとめられていること~」
足立 直樹 氏(株)レスポンスアビリティ代表取締役

【第2部】事例紹介及びパネルディスカッション
・事例紹介
1. サントリーホールディングス(株)
サステナビリティ経営推進本部 戦略・人権・基盤グループ 部長 内田 雄作 氏

2.(株)SCREENホールディングス
サステナビリティ戦略本部サステナビリティ推進室環境共生推進課 課長 福江久美子氏

3.山中 裕樹 氏
龍谷大学生物多様性科学研究センター長、一般社団法人環境DNA学会専務理事

・パネルディスカッション
「企業活動に生物多様性をどのように組み込んでいけばよいのかーTNFD時代での新しいリスクとチャンス」
登壇者:湯本 貴和、足立 直樹 氏、 内田 雄作 氏、福江久美子氏、山中 裕樹 氏

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