こっちの問題を解決しても、別のところから別の問題が顔を出す。「モグラ叩き」を連想してしまいました。
EVを使うことで車の排気ガスを無くすことはできますが、タイヤの摩耗で生じる粉塵を減らすことはできません。それどころか、エンジン車よりも重いEVは、スタート・ブレーキ時にタイヤにかかる負荷も大きくなるため、摩耗が早まると言われています。
イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンによる報告(2023年2月)によると、全世界で年間600万トンの粉塵が大気中に排出されており、ロンドンだけでも260万台の車から毎年9,000トンが排出されているそうです。
粉塵は農地に降りそそぎ、路上に降ったものも雨に流されて、やがては川や海に流入します。呼吸・摂取・吸収などを経て人間、海産物、農作物に影響を与えます。
タイヤの粉塵を回収する装置を開発しているThe Tyre Collectiveのサイトでは、1日に発生する粉塵の量が示されています。1台の普通車で2.08g。ロンドンで最長ルート(X26。現在はSL7に改称)のバスが1日336.3g。こんな写真をみると、ちょっと驚いてしまいます。
摩耗の少ないタイヤも開発されていますが、これからもさらに研究・開発が必要な分野ですね。
さて、交通分野での脱炭素に関するシンポジウムが開催されるのでご案内します。
名称: 交通脱炭素シンポジウム㈼
〜脱炭素における運輸セクターの将来展望〜
日時: 2024年6月12日(水)14:00〜17:00
会場: ベルサール御成門駅前/オンライン
主催: 一般財団法人 運輸総合研究所
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
【開会挨拶】
宿利 正史 運輸総合研究所 会長
【基調講演】
「カーボンニュートラルに向けた世界展望と運輸部門の見通し」
秋元 圭吾 公益財団法人地球環境産業技術研究機構
システム研究グループ グループリーダー・主席研究員
【研究報告】
(1) 日本の交通産業の脱炭素化シナリオ分析
谷口 正信 運輸総合研究所 研究員
(2) 欧州及び米国における交通分野の燃料転換促進策
小倉 匠人 運輸総合研究所 研究員
園田 薫 運輸総合研究所 研究員
【パネルディスカッション】
(モデレーター)
山内 弘隆 武蔵野大学 特任教授・一橋大学 名誉教授・
運輸総合研究所 研究アドバイザー
(パネリスト)
上本 佳史 ヤマト運輸株式会社 グリーンイノベーション開発部
エネルギー事業推進課長
浅井 康太 株式会社みちのりホールディングス グループディレクター
下永 智規 株式会社商船三井さんふらわあ 執行役員
乾 元英 全日本空輸株式会社 経営戦略室企画部GXチーム マネージャー
清水 充 国土交通省総合政策局 環境政策課長
谷口 正信 運輸総合研究所 研究員
【閉会挨拶】
屋井 鉄雄 運輸総合研究所 所長
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