25%で変われる 社会のティッピング・ポイント

学級会であれ町内会であれ、物事を多数決で決める考え方に慣れてしまっているせいか、頭の中にはいつの間にか「なにかを変えられるのは、賛同者が過半数を超えたとき」という意識になってしまっていたようです。

ある記事で「25%のティッピングポイント」という言葉をみかけて、どういう意味かなと思って見てみたら、興味深いことが書かれていました。「ある考えについて、10%や20%の人々が賛同しても変化のスピードは遅いけれども、25%の人々が賛同すると物事は急速に変化し始める」とあります。

Yes Magazine: The 25% Tipping Point

いくつか事例が紹介されています。
・職場の文化
職場で女性が少数派のときは、差別やハラスメントといった抑圧的な文化に支配されていたが、女性リーダーが20%-30%を占めるようになったら職場の文化が変わった。

・実験
少人数のグループを対象にした実験で、少数派の人数を変化させていき、どの時点で行動が変化するのかを見た。その結果、少数派の割合が25%になった時、そしてそれ以上の時も含めて、多数派が新しい行動様式を受け入れた。

・ドイツ太陽光発電の普及
1992年には太陽光パネルを設置していたのは2,000世帯だったが、2009年には576,000世帯になった。広告や補助金だけでは大きな変化が起きなかったため、各地域でまず特定数の世帯に太陽光を設置するというプログラムを実施したら、全国規模の急速な普及を引き起こした。

こうした現象の背景には、人と人とのつながり方が大きく作用しているようですが、「過半数でなくてもいい。25%がティッピングポイントで、そこから変化は加速する。物事は変えられる」という見方は、ポジティブでいいですよね。

さて、ゼリ・ジャパン/気候非常事態ネットワークが主催してきたティッピングポイント連続Webセミナーの第4回の映像が公開されましたので、ご案内します。これは昨年12月に一般社団法人日本MRSが主催する国際会議の中の公開セミナーという形で開催されました。

名称:The Grand Meeting(MRM2023/IUMRS-ICA2023)国際会議公開セミナー
   併催 第4回ティッピングポイント連続Webセミナー

動画リンク: https://www.youtube.com/watch?v=aC1BGXasq3g
開催した日: 2023年12月12日
主催: 一般社団法人 日本MRS
共催: 特定非営利活動法人 ゼリ・ジャパン

主な内容:下記HPより抜粋

気候変動を緩和し脱炭素による持続可能な社会に移行するためには、自然科学による技術的な社会変革だけではなく、グローバルで学際的な協力が必要です。ポジティブな社会的転換を実現するためには、人々の行動や社会構造、政策の形成と実行に関連する社会科学の助けが必要です。本セミナーでは、社会的、文化的変革の必要性と具体例を紹介し、脱炭素を目指した物質消費やテクノロジー研究の現状を概説し、社会科学と自然科学の両面からSocial Tipping Dynamicsについて議論します。

開会挨拶 竹内光男 ゼリ・ジャパン 事務局長

開催趣旨説明 鈴木 淳史  MRM2023/IUMRS-ICA2023事務局長(日本MRS事務局長)【第1部 講演】
司会:Ria Lambino
(総合地球環境学研究所 特任准教授/Future Earth国際事務局日本ハブ 副事務局長)

・基調講演(英語)
Social Tipping Dynamics and Carbon Inequalities
(ソーシャルティッピングダイナミックスと炭素不平等)
Ilona M. Otto グラーツ大学 ウェゲナー気候・地球変動センター 教授

・講演(日本語)
持続可能な社会への険しい道のりにおけるシステム的問題
Hein Mallee 京都府立大学 教授/総合地球環境学研究所 名誉教授

・講演(日本語)
持続可能で平和な社会に必要な国際システムと社会的変革
樋川 和子 大阪女学院大学教授(当時)

・講演(日本語)
脱炭素社会への転換に向けた物質バジェットの設定
南齋 規介 国立環境研究所 資源循環領域 室長

・講演(日本語)
テクノロジーにより地球温暖化を解決できるのか? 
水谷 広 社会地球化学研究所 代表

【第2部 パネルディスカッション】
司会(モデレーター):春日文子
(長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授/
 Future Earth国際事務局日本ハブ 事務局長)

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