最近、金の価格に関するニュースを見かけることが増えました。つい昨日、1グラムあたりの価格が13,000円を超えて、過去最高値になったそうです。ずっと前から持っていた人には朗報ですよね。
ところで、世界の金の総生産量の2~3割は発展途上国の零細小規模採掘(Artisanal and Small-Scale Gold Mining, ASGM)によるもので、70カ国以上で1500万人が従事しています。そこで使われている金の抽出法が、19世紀アメリカのゴールドラッシュでも使われていた「アマルガム法」です。細かく砕いた金鉱石に水銀を混ぜて加熱していくと水銀と金がくっついて合金(アマルガム)となる。これをさらに加熱すると水銀だけが蒸発して、金が残るというシンプルな方法です。
しかしこの時に蒸発した水銀は消えてなくなるわけではなく、環境の中に残ります。従事者自身が作業中に吸い込んでしまうこともあるし、雨によって大気から土壌、川、海へと浸透し、生態系の中に入り込んでいきます。
水銀に汚染された水や食物を摂取し、水銀が体内に蓄積されていくと、神経系の疾患や免疫不全、精神障害など、健康に深刻な悪影響を与えます。日本では水俣病が大きな社会問題になりました。
金は宝飾品だけでなく、工業製品の材料としてスマホなどの電子機器にも使われています。たとえ金のネックレスは持っていなくても、金と無縁の人はいないわけです。
水銀による汚染は、環境・健康・経済に関わる問題ですが、これには”文化”という側面もあるそうです。
京都の総合地球環境学研究所が主催するセミナーで、インドネシアの水銀汚染問題について語られますので、ご案内します。
名称: 第85回地球研市民セミナー・SRIREPプロジェクト
「文化は経済を超えられるのか?」
水銀汚染問題の解決に向けて、インドネシアでの実践研究からみえてきたこと
日時: 2024年4月27日(土)14:30~16:00
会場: QUESTION 4F Community Steps (京都市)/アーカイブ配信(後日)
主催: 総合地球環境学研究所
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
地球研SRIREPプロジェクトは、2016年より8年間、インドネシアとミャンマーで、現地で違法とされている金採掘「零細小規模金採掘(ASGM)」による水銀汚染の問題に取り組んできました。
地球環境問題の一つである水銀汚染の問題にフォーカスしていくと、そこには地域の人々の暮らしがあり、文化がありました。今回のセミナーでは、インドネシアでの活動を紹介しながら、なぜ水銀汚染の問題はなくならないのか、どのようにこの問題に取り組んでいけばよいのか、“経済”や“文化”の視点から考えていきたいと思います。
登壇者: 榊原 正幸(総合地球環境学研究所客員教授・SRIREPプロジェクトリーダー/愛媛大学社会共創学部教授)
講演:
・地球環境問題としての水銀汚染
・なぜASGMがなくならないのか
・どのようにASGMの問題に取り組んだか:事例研究
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