住まいも、組織も、「風通しがいい」ほうがいいですよね。どうやら水田も同じみたいです。
CO2の25倍の温暖化効果を持つメタンガス。日本で排出されているメタンの4割が水田稲作から出ています。メタンをつくる「メタン生成菌」は、水田に水が張られて土壌中の酸素が欠乏してくると活発になります。土壌中には有機物があります。稲の根から分泌されたもの、肥料として使われた藁が分解したものなどです。活性化したメタン生成菌がこれらを分解するときにメタンが発生します。
そしてそのメタンが一因となって温暖化が進むと、
・CO2の増加によってイネの成長が促進され、稲の分泌物が増加
・水田の地温の上昇
につながり、さらにメタン生成菌が活発になります。そしてそれが温暖化をさらに進める…。という悪循環になります。
しかし、一つの対策があります。稲作には稲穂の生育向上のために行ってきた「中干し(なかぼし)」という慣行があり、夏に1~2週間ほど水田の水を抜く期間があるのですが、これをもう3日~1週間ほど長くするとメタンの発生を3割程度抑えられることが分かっています。酸素の多い環境ではメタン生成菌の活動が低下するからなんですね。
中干しの延長は、コメの収穫量の減少や品質低下につながるリスクもあるため、品種や地域の特性を踏まえて慎重に行わないといけないようですが、少し「風通し」を良くしてあげるだけで、こんなにいいことがあるんですね。
さて、これとは逆に、温暖化はコメ作りにどんな影響を与えているのでしょうか。そんなことがテーマのセミナーをご案内します。
名称: 気候変動適応サイエンスカフェ
「温暖化が水稲生産に及ぼす影響とその適応策」
日時: 2024年3月28日(木)15:00~16:30
会場: オンライン
主催: 埼玉県環境科学国際センター
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
地球温暖化はすでに日本の農業生産に様々な影響を及ぼしており、将来さらに甚大な影響が生じると考えられています。本サイエンスカフェでは日本の水稲生産を中心に その影響と対策(適用策)に関する最新の研究について紹介していただきます。
スピーカー: 増冨祐司 氏
国立環境研究所 アジア太平洋気候変動適応研究室長
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