人工知能(AI)が進化していくと、やがて「意識」を持つようになるのではないか。その時、人類と人工知能の関係はどうなってしまうのか。そんなことが懸念されています。今年中学生を卒業するある女の子に、「こういうことについて、どう思う?」と尋ねたら、その子は「うーん、私は家来のようにバシバシ使うよ!」と元気に言いました。どうやら、質問の仕方が良くなかったようです。
その一方で、AIの活躍の場は広がり続けています。さまざまな課題を解決しようとするとき、高い情報処理能力が威力を発揮します。
気候変動の影響をもっとも直接的に受ける産業といえば、農業。私たちの生命の源である食糧の生産です。
その農業の効率を上げるためにNECが開発したプラットフォーム「CropScope」。広大な耕作地も小さな区画ごとに状況をモニタリングし、作物の生育状況や病気、害虫の発生、気象情報などをリアルタイムで確認して対応することが可能になっています。
施肥や灌漑についてもきめの細かい調整が可能になり、水や肥料を節約する一方で収穫量を向上できるなど、効果を上げています。
使い続けるうちにAIが蓄積されたデータを学習して、より最適な提案を行えるようになっていきます。
イタリアのトマト栽培の事例では、使用する水の量を19%減らしても収穫量が23%増えたそうです。大きな効果ですよね。
NEC:露地栽培農業支援ソリューション CropScope
長年のカンや経験に頼らなくてよいこうした技術は、農業の効率を上げるだけでなく、農業従事者を増やす効果もあるでしょうから、食糧をめぐる安全保障という点でも貢献してくれそうですね。
さて、地球環境戦略研究機関(IGES)の主催で気候変動と食糧安全保障に関するワークショップが開催されますので、ご案内します。使用言語は日本語と英語ですが、同時通訳があります。
名称: アジア太平洋の気候安全保障事業 (APCS)
国際ワークショップ「気候危機における食料安全保障の確保」
日時: 2024年3月13日(水)13:30~17:00
会場: IGES葉山本部(神奈川県三浦郡)
主催: 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
本ワークショップでは、気候危機下において食料安全保障を確保するための最近の議論、研究がより必要とされる領域、可能な政策介入について検討します。
食料安全保障と食料不安は様々な要因によって左右されます。例えば、COVID-19やウクライナ戦争が食料安全保障に大きな影響を与えたことは記憶に新しいものです。本ワークショップでは、そのような要因の一つとして、気候変動に焦点を当てます。
先般発表されたIPCC第6次評価報告書が強調しているように、気候変動は世界の食料システムの様々な側面に影響を与え、食料システムに対する他の種類のリスクや脅威を増加させます。例えば、気候変動によって食料生産に適した土地が変化したり、災害によって作物の不作やサプライチェーンの混乱が生じたりする可能性があります。
さらに、気候変動への対策も食料システムに影響を及ぼします。例えば、土地集約型の太陽光パネルを大規模に設置しようとすれば、それは農業に利用可能な土地を圧迫するかもしれません。
気候変動は特に社会的弱者に影響を及ぼし、食料へのアクセスにおける不平等を悪化させることも指摘されています。気候ストレスへの対応策が、脆弱性をさらに悪化させる可能性があるかもしれないのです。
気候変動が安全保障に与える影響は多様であり、また気候変動への対策を講じる政策領域も多岐にわたるため、気候変動の影響と対応が食料安全保障に与える影響についての体系的な分析は困難な課題です。
地球環境戦略研究機関および東京大学未来ビジョンセンターが実施する共同プロジェクトでは、この複雑な構造を分析し、研究を進めていこうとしています。
本ワークショップでは、気候危機における食料安全保障という課題を構成する要素のマッピング、研究が不足している領域の整理、展望できる研究方針の特定を行い、今後数年間、この分野における政策研究を推進するための出発点を示すことを試みます。
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