世界の銀行の基準が決まる街 豚の都市か 王城か 

スイスで3番目に大きな都市、バーゼル。
ウィキペディアによるとその名前の意味は「王城」かもしれないし、「オスの猪あるいは豚の都市」かもしれないそうです。地名の由来に諸説あるのは分かりますが、え、本当でしょうか…。ギャップが大きいですよね。もし将来、「由来は”豚の都市”である」などと書かれた古文書が見つかりでもしたら、激しい議論が巻き起こりそうです。

スイス北部、ライン川にまたがって広がるこの街は古くから学問や文化が盛んで、スイス最古の大学があり、1671年に開設されたバーゼル市立美術館は世界最古の公共美術館の一つだと言われています。また、人類史上最多の論文を書き残したと言われる数学界の巨人、レオンハルト・オイラーの生誕の地でもあります。

ここに、世界の銀行監督に関する基準や指針を決める機関、「バーゼル銀行監督委員会」(BCBS, Basel Committee on Banking Supervision)があります。2022年7月現在、日本を含む世界28の国と地域の中央銀行や金融当局が参加しています。

現在、このバーゼル委員会では、銀行が抱えるリスクのうち、気候変動に関連するものについて開示するよう義務付ける方向で検討しているそうです。意見公募を経て24年中に最終案を公表し、26年1月から実施することを計画しています。

脱炭素によって価値を失ってしまう設備を持つ企業や、河川の氾濫、森林火災などの影響を受ける企業への融資は不良債権化する可能性もあり、その規模次第では金融システムが危うくなります。そうした潜在的なリスクをしっかり見積もって開示せよ、ということなんですね。大変ですが、大事な作業ですね。

ところでこの委員会について、面白いことを知りました。バーゼル委員会が決める基準や指針は、条約ではなく、法的な拘束力はないのだそうです。

国際的に活動する銀行がどの国でもスムーズに業務を行えるように、共通の基準や指針があるといい。各国の規制などもこの国際的な基準に沿うように策定した方が、結果としてみんなが恩恵を得られるよね、ということなんですね。法的な縛りも罰則もないのに、みんなが守るようになるって、なかなか面白いですよね。

さて、日本経済新聞社が主催するシンポジウムで、企業の開示に関することも話題になっていますので、ご案内します。

名称: NIKKEI 脱炭素プロジェクトシンポジウム
日時: 2024年2月29日(木)10:00~17:00 
  3月1日(金)10:00~17:00 
会場: 日経ホール(東京都千代田区)/オンライン 
主催: 日本経済新聞社
参加費: 無料 

主な内容: 下記HPより抜粋 

○ オープニングリマークス
東京大学 未来ビジョン研究センター 教授 高村ゆかり氏

○ 企業講演 三井不動産
三井不動産 取締役専務執行役員 広川 義浩氏

○ 企業講演 九州電力
九州電力 代表取締役社長執行役員 池辺 和弘氏

○ パネルディスカッション
「ディスクロージャー」
<パネリスト>
三井不動産 サステナビリティ推進部長 山本 有氏
農林中央金庫 エグゼクティブ・アドバイザー 
 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)メンバー 秀島 弘高 氏ほか

<進行>
高崎経済大学 学長 水口剛氏

○ 企業講演 日本ガイシ
日本ガイシ 執行役員 ESG推進統括部長 石原 亮氏

○ パネルディスカッション
「行動変容/資源循環」
<パネリスト>
Earth hacks 代表取締役社長 関根 澄人氏
日本ガイシ ESG推進部長 野尻 敬午氏
ほか

<進行>
東京大学 未来ビジョン研究センター 教授 高村ゆかり氏

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