水族館でサメの皮膚を、恐る恐る触ったことがあります。怖かったのでほんの数秒触っただけですが、確かにざらざらしていて、「おー、サメ肌って、まさにこれだね。納得だなあ」と感動したものです。
シドニー五輪(2000年)の頃にさかんに報道されていたのが、「ファーストスキン」という競泳用の水着。サメの皮膚にヒントを得て作られたもので、水の抵抗が少なくて早く泳げるというものでした。素材の表面に「リブレット」(riblet)という微細な縦溝構造を施し、泳ぐとそこから生じる縦渦によって乱流を打ち消して水の摩擦を低減するという仕組みです。表面がざらざらだからこそ水がスムーズに流れる。不思議なものですね。シドニー五輪のメダル獲得者の7割近くがこの水着を着用していたそうですから、その効果は明白だったんですね。
そしていま、水中でうまく行くなら、空でもうまく行くのでは?という試みが行われています。
日本航空プレスリリース(2023年2月28日):
JAL、JAXA、オーウエル、ニコン 世界初、塗膜にリブレット形状を施工した航空機で飛行実証試験を実施
機体の外板の塗膜上にリブレット加工を施して燃費を2%ほど向上できるそうです。2%だけ?って一瞬思いますが、例えばボーイング787-800型の最大燃料容量は12万7千リットルなので、その2%というと2,540リットル。家庭用の灯油タンク(490リットル)5つ分に相当する量です。いろんな試みがあって面白いですね。
一方、やはり燃料そのものを脱炭素しなければ、ということで開発や利用促進がすすめられているのがSAF(Sustainable Aviation Fuel, 持続可能な航空燃料)です。SAFに関するシンポジウムが行われますので、ご案内します。
名称: “空のカーボンニュートラル”シンポジウム vol.2
〜SAF(持続可能な航空燃料)の環境価値の見える化〜
日時: 2024年2月21日(水)13:00〜17:00
会場: 飯野ビルディング(東京都千代田区)/オンライン
主催: 国土交通省、資源エネルギー庁
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
2050年のカーボンニュートラルに向けて、航空分野においても脱炭素化の機運が高まっています。SAF(持続可能な航空燃料)は航空脱炭素化に向けた切り札とも言われ、その利用拡大は重要な課題です。今年度は、航空の物流を中心に、Scope3をはじめとした国内外における脱炭素化を取り巻く最新の情勢や取組状況、そして今後の課題など、様々な業界を交え紹介・議論し、SAF利用の拡大に繋げていくための方策を考えます。
○ 基調講演
「日本の産業界における脱炭素化の動向と今後の課題」
(株)日本経済新聞社
「世界の航空脱炭素化最前線(パート1):国際航空貨物輸送におけるSAF導入等の取組」
DHLジャパン(株)
「航空を含めた脱炭素化に向けた企業の経営戦略」
国内企業
「SAF製造をはじめとした環境価値への取組」
ENEOS(株)
「世界の航空脱炭素化最前線(パート2):欧州における航空脱炭素化の取組」
EU
○ パネルディスカッション「航空の物流を中心として、SAF利用促進を図っていくために必要なこと」
コーディネーター: 山内 弘隆 武蔵野大学 経営学部 特任教授
パネリスト: ANAホールディングス(株)、日本航空(株)、DHLジャパン(株)、 国内企業(同上)、ENEOS(株)
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