やめろといわれても なかなか急には…

タバコ、深酒、締めのラーメン、自分へのご褒美スイーツ。健康に悪いかも…、と思ってもなかなかやめられませんよね。でも心配はいりません。賢い人が集まって決める法律でさえ、なかなか思うようにはいかないようですから。

水俣病やイタイイタイ病などの公害病の発生を受けて、1967年に公害対策基本法が成立しました。それは「国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的とする」(第1条)のですが、おまけがあって「前項に規定する生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるようにするものとする」(第1条第2項)とあったのです。

「調和」とは聞こえのいい言葉ですが、解釈によっては「経済の健全な発展を妨げない程度に生活環境を保全するんだったら、いいよ」とも読めますよね。いやあ、これでほんとに公害対策になるのかな、と思ってしまいますよね。公害対策をやらなきゃいけないと分かってはいても、なかなか一気に舵を切れなかったんでしょうね。

このいわゆる「調和条項」はやはり後で問題になって、1970年の改正時に削除されました。物事はなかなかサクサクとは変えられませんが、少しずついい方向に進めることはできる。そんな希望は持っていたいものですね。

ところで、ちょうどこの頃から、自治体が環境行政を進めるためのモニタリングや試験検査などを行う拠点として全国各地に地方環境研究所が設立されていきました。現在その数は
67ヶ所にも及びます。

私たちの生活衛生や環境を守るために、これら環境研究所の全国ネットワークがあり、国立環境研究所が交流シンポジウムを毎年開催しています。この2月に第39回のシンポジウムが行われますのでご紹介します。

名称: 第39回全国環境研究所交流シンポジウム
日時: 2024年2月15日(木)13:00〜17:05、2月16日(金)09:00〜12:25
会場: 国立環境研究所(茨城県つくば市)/オンライン 
主催: 国立研究開発法人 国立環境研究所
参加費: 無料 

主な内容: 下記HPより抜粋 

【2月15日(木)】
開会挨拶:国立環境研究所  理事長  木本 昌秀 
来賓挨拶 :環境省大臣官房総合政策課 環境研究技術室長 奥村 暢夫 

○「国立環境研究所50 周年記念特別企画」
地方環境研究機関の”これから”を共考しよう 
(1) 基調講演「地方環境研究機関の今」 
   大原 利眞(埼玉県環境科学国際センター) 
(2) パネルディスカッション「地方環境研究機関の現状と課題を語り合う」 
   (1) 地環研からの現状報告
   (2) 地環研の役割は何か(特に「環境保全」から「持続可能な地域づくり」)
   (3) 機関連携と人材育成をどのように進めるか
(3) 総合討論 

○  研究発表 <プラスチック>  座長:鈴木 剛(国立環境研究所) 
(1)「北海道における廃プラスチックのフロー把握とプラスチックによる環境問題へのアプローチ」  
   永洞 真一郎(北海道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所) 
(2)「静岡県におけるマイクロプラスチック汚染実態」
   竹下 由布子(静岡県環境衛生科学研究所)
(3)「大阪の河川水中に含まれるマイクロプラスチック」
   近藤 美麻、相子 伸之(大阪府立環境農林水産総合研究所)
(4)「大都市河川下流域におけるマイクロプラスチック調査における課題」 
   中尾 賢志(大阪市立環境科学研究センター) 
(5)「河川プラスチックごみの排出実態把握と排出抑制対策に資する研究:研究成果と今後の課題」 
   鈴木 剛(国立環境研究所) 

○ <大気汚染>  座長:菅田 誠治(国立環境研究所) 
(6)「大都市大気環境からのマイクロプラスチック検出」
   中尾 賢志(大阪市立環境科学研究センター) 
(7)「燃料転換による瀬戸内海沿岸部における大気環境の改善」
   加納 かおり(兵庫県環境研究センター) 
(8) 「光化学オキシダント予測AI システムの試行」
   小田 祐一(静岡県環境衛生科学研究所) 

【2月16日(金)】
○ <気候変動適応>  座長:西廣 淳(国立環境研究所)
(9)「海水温上昇と赤土等堆積による造礁サンゴへの影響」
   座間味 佳孝(沖縄県衛生環境研究所)
(10)「神奈川県におけるWBGT 分布推計と熱中症の発生状況」
   田澤 慧(神奈川県環境科学センター) 
(11) 「福島県における洪水被害を対象とした気候変動の影響予測」
   TAN JIAZE(福島県環境創造センター) 
(12)「浅い湖沼の貧酸素化現象の特質とその悪影響評価の試み」
   高津 文人、土屋健司(国立環境研究所) 

○<水環境、水生生物>  座長:青野 光子(国立環境研究所)
(13)「昆虫類の環境 DNA 調査はどこまで進んだか? 
   −国㈼型研究により達成した手法の標準化と DNA データベース整備−」
   長谷部 勇太(神奈川県環境科学センター) 
(14)「食物連鎖モデルを用いた瀬戸内海播磨灘の生態系パラメータ感度解析」
   古賀 佑太郎(兵庫県環境研究センター)
(15)「近年の琵琶湖における水の華の動向について」
   河上 新大(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)
(16)「湧水を用いた無施肥レンコン栽培:レガシー窒素の浄化と生物多様性保全機能」
   松崎 慎一郎(国立環境研究所)

閉会挨拶:国立環境研究所 理事 森口 祐一

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