電車の運転手に「すみません、電車を止めてください」とお願いしてしまったことがあります。小学生の頃ですが、電車で居眠りしてしまい、目覚めたらまさにちょうど、降りる予定の駅から電車が走り出した直後だったのです。あの時の情景はいまも鮮明に覚えています。初めての経験で、怖くなって慌てて運転手さんのところに行ったんですよね。そのとき運転手さんは優しく「止められないけど、次の駅で乗り換えて戻ってくればいいよ」と教えてくれました。あ、そうか、それでいいんだ…と、ほっとしましたね。あまりにも簡単に解決したので、慌てた自分が滑稽でした。
さて、南極の西側にある氷床の融解がもう止められないそうです。人類は居眠りしていたわけではありませんが、出遅れてしまったようです。こちらは簡単に解決できません。
英国南極研究所(British Antarctic Survey)が10月23日に「化石燃料の使用をどれだけ減らしても、今世紀中は西南極氷床の融解は加速し続ける」という研究結果を発表しました。
英国南極研究所:Increased West Antarctic Ice Sheet melting ‘unavoidable’
(西南極氷床の融解の加速 ”不可避”)
スーパーコンピューターを使った分析ですが、産業革命以降の気温上昇を1.5度以内に抑えるという、ベストのシナリオでも20世紀の3倍の速さで棚表が溶けていくという結果が出ました。
西南極氷床は南極の氷の一部。それでもとてつもなく巨大で、地球全体の海水面を最大5.3メートル上昇させるだけの量があります。
今回の研究を主導した英国南極研究所のケイトリン・ノートン博士は「私たちは西南極氷床の融解を制御できなくなったようです。これまで通りの氷床を維持したかったら、もっと何十年も前に気候変動に対して行動を起こすべきでした」と述べています。
しかし、西南極氷床の融解は海面上昇のひとつの要素に過ぎません。現在の削減目標が達成されれば、その融解が2100年以降に安定に向かうことに貢献するし、南極の他地域の氷床が大規模に消失する可能性は低くなる、とされています。
そのためノートン博士は、海面上昇の速度を遅らせ、社会が適応できる時間を稼ぐためにも、化石燃料への依存を減らし続けなければならない、ととも話しています。
とにかくCO2削減の努力は続けるべきだ、ということですね。
そんな中、最近注目されている二酸化炭素回収・貯蔵技術CCS(Carbon dioxide Capture and Storage )に関するフォーラムが開催されますので、ご案内します。
名称: Japan CCS Forum 2023
日時: 2023年11月15日(水)10:00~16:30
会場: ベルサール虎ノ門(東京都港区)/オンライン
主催: グローバルCCSインスティテュート(GCCSI)
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
・基調講演
経済産業省 資源エネルギー省 資源・燃料部 カーボンマネージメント課 CCS政策室長 佐伯 徳彦
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 環境部 部長 福永 茂和
・第一部「世界のCCS概況アップデート」
<登壇者>
グローバルCCSインスティテュート CEO Jarad Daniels
デンマーク政府 デンマーク大使館 経済外交エネルギー担当公使参事官 スーネ ストロム
Pilot Energy Chairman Brad Lingo
ExxonMobil Low Carbon Solutions – Asia Pacific Vice President, Policy Development Ken Freeman
The CarbonNet Project Director Jane Burton
日本郵船株式会社
株式会社みずほ銀行
TNO Energy & Materials Transition Filip Neele
(ファシリテーター)グローバルCCSインスティテュート 日本代表 南坊博司
・第二部 「パネルディスカッション – CCSプロジェクトとファイナンスについて」
<パネリスト>
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
株式会社みずほ銀行
住友商事株式会社
三菱商事株式会社
Howden Specialty
(ファシリテーター)グローバルCCSインスティテュート グローバルファイナンスセクターリード Christina Staib
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