データで変動を予測し、予兆を分析する

先週末には東海地方などで線状降水帯が発生して、予想を超えた雨量になりました。地域によっては、暴風警報が発令されなかったため子供たちは通常通り登校したのですが、帰る頃にはあちこちで冠水が起こったりして、なかなか大変な状況になってしまいました。

私自身、雷もなく強い風もないので、体感としては「あれ?弱い台風だな…」と感じたのですが、そんな中でただただ雨が降り続け、やがてあちこちで川が氾濫し、多数の車が立ち往生しているなどという知らせを聞いたときには、なんとも言えない怖さを覚えました。

気候の予測は、それが短期であれ長期であれ、難しいものですね。しかし、温暖化が進むと極端な事象が増えることも指摘されていますので、観測や予測の重要性はますます高まります。

「データ統合と数理で導く気候変動の緩和と適応」というテーマでシンポジウムが開催されますので、ご案内します。

名称: 社会連携研究部門シンポジウム
    「データ統合と数理で導く気候変動の緩和と適応 ~大学と共創する工学知~」

日時: 2023年6月15日(木)13:30~18:00
会場: 東京大学 伊藤国際学術研究センター
主催: 株式会社構造計画研究所
参加費: 無料
主な内容: 下記HPより抜粋 
・講演1
「気候変動影響に関する諸課題の概説と激甚化する水災害への対応策」
池内 幸司 氏 一般財団法人 河川情報センター 河川情報研究所長
 はじめに、地震、津波、水害、土砂災害など主な自然災害の特徴と、地震対策と水害対策を代表事例としてその災害特性に応じて防災対策がどのように異なるのか等について述べる。
 次に、近年の豪雨災害の特徴と教訓、気候変動によって激甚化していく水災害の状況について概説し、日頃からどのように備えれば良いのか、災害時にどう行動したら良いのかなどについて述べる。
 最後に、米国のテキサス州、フロリダ州、企業、メディカルセンター、FEMA(連邦緊急事態管理庁)、陸軍工兵隊等における水害レジリエンスの向上策に関する先進事例について紹介する。

・講演2
「複雑系数理学に基づく変動予測・予兆解析 ~再生可能エネルギーから未病医学まで~」
合原 一幸 氏 東京大学 特別教授/名誉教授 
 本講演では、実世界の様々な複雑系を対象にしてその変動の予測・予兆数理解析を紹介する。
はじめに、講演者らが構築した複雑系数理学の概要を述べる。
 次に、特に予測や予兆に着目した数理的手法と具体的応用事例、たとえば、洪水予測などに有効な多数のセンサーなどからの時空間情報を活用する高次元データ予測理論、ガンなどの疾病の未病状態や複雑系の故障の予兆を検出する動的ネットワークマーカー理論、再生可能エネルギーに関連した予測・予兆数理解析などについて説明する。
 最後に実装技術と関連して、AI、ニューロモルフィックハードウェア、ニューロインテリジェンスなどの最新動向を論じる。

・講演3
「人と、まちと、Cyber空間との連成のために」
野城 智也 氏 高知工科大学 システム工学群 教授 
 建築に情報を埋め込む「Information Embedded Building」という概念を掲げ、今世紀初頭から携わってきた以下の取り組みについて解説する。
 1. 今日でいうところのIoTを活用した運用改善によって、建築からの温室効果ガスの発生量抑制を図る取り組み
 2. 1の取り組みを契機にした、建築構成材のIoTシステムのInteroperability/相互運用性の向上を図る取り組み
   加えてこれらの活動を踏まえ、構造計画研究所とともに展開させてきた「Cyber空間」「物理空間上のまち」及び「それらの空間における人々の活動の重なり方」に関わる考究の一端を紹介する。

詳しくはこちらをご覧ください。