このところ、「脱炭素」と「エネルギー安全保障」は同時に語られることが多くなりました。経済成長もからめて、これをアジアの近隣諸国間で協力して進めていこうというのがアジア・ゼロエミッション共同体(Asia Zero Emission Community)という枠組みです。
2022年1月の岸田首相の施政方針演説で打ち出された構想ですが、今年3月3日、4日にかけて東京で官民投資フォーラムと閣僚会合が行われました。
閣僚会合にはオーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの各国閣僚らが出席しました。
投資フォーラムでは、再エネ、バイオマス、水素、アンモニア、LNGなど脱炭素関連の多岐に渡る分野で合計28件に及ぶ覚書き(MOU)が発表されました。
その一部を抜き出してみます。
・ 豪州クイーンズランドでのe-fuel/SAF バリューチェーン構築検討に関する覚書
概要:航空産業におけるカーボンニュートラル実現およびアジア太平洋地域の脱炭素に貢献する為、CS Energy(豪、クイーンズランド州政府公社)、東洋エンジニアリング株式会社(日)、および、双日株式会社(日)の3社が、豪州クイーンズランドでのe-fuel/SAFバリューチェーン構築に関する検討を合意するもの。
・バイオメタン燃料製造事業のパーム廃液原料供給に関する基本合意
概要:インドネシアのパーム油廃液から排出されるメタンを回収し、バイオメタン燃料を製造する事業の実現に向けて、PGN、日揮HD、大阪ガス、INPEXの4社間コンソ―シアムが、同国パーム油国営大手のPTPNからの原料供給等の可能性を追求する。
・自然電力とGanubis Renewable Energyコンソーシアム
フィリピンにおける96MWの陸上風力発電の共同開発に関する覚書
概要:自然電力はフィリピンにおける最大96MWの陸上風力発電を共同開発していくことについて、Ganubis Renewable Energyコンソーシアムと合意する。
・EGAT(タイ発電公社)とカーボンソリューションに関する包括的協議に向けた覚書
概要:タイでは2030年時点でのGHG排出量の40%削減,2065年でのネットゼロを目標に各脱炭素化施策への取り組みを進めている。その重要な役割を担うEGATと、その達成に向けた施策の検討と具体化を進めるための議論の場・ビジネスマッチングの枠組みを構築するもの。
・ベトナム社会主義共和国 チャビン省におけるチュオンタン洋上風力発電プロジェクト(発電容量2.0GW)の開発に係わる覚書
概要:ベトナム国南部エリアのチャビン省沖合海域における2GW規模の洋上風力発電プロジェクト(本事業)の開発について、現地企業TTVN社と熊谷組が主導し、INPEX、関西電力が参加する日本企業グループが協力して、事業推進に向けた取り組みを行うもの。
本当に、様々な分野での協力が進められていますね。
これらを含む28件のMOUの内容の詳細については、こちらをご覧ください。
経済産業省 資源エネルギー庁:MOU案件リスト一覧(AZEC官民投資フォーラム)