英語の“コアリション”(coalition)とは、ある目的のためにいくつかの集団が協力することを指していて、例えば連立政府はコアリション・ガバメント(coalition government)と呼ばれます。
2021年に日本でもコアリションが作られました。こちらは政府の話ではなく、大学を中心にしたもので、その目的はカーボンニュートラルの実現です。その名も「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」(University Coalition for Carbon Neutrality)。
主な活動の内容としては、
(1)大学等の取り組みに係る知見の横展開
(2)自治体や企業等との連携強化による研究成果の社会実装やニーズに応じた研究開発の推進
(3)国内外への発信力の強化
といったことが掲げられています。
この大学等コアリションには「ゼロカーボン・キャンパス・ワーキンググループ」が設置されており、2025年までにコアリションの全参加大学が方針やロードマップ等を策定し、順次取組を推進していくことを目指しています。
参加大学の事例をいくつかあげると、
・東北大学: 環境科学研究科の建物をZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化。
・金沢大学: キャンパスの里山を整備、森林吸収量を最大限活用。
・千葉商科大学: 所有地内に太陽光発電所を設置。
・神奈川大学: 海中ソーラー発電システムの実証実験を実施。
などさまざまな取り組みが始まっています。
そんななか、3月28日に東京都公立大学法人がカーボンニュートラル推進プランを公表しました。
東京都公立大学法人は、2大学(東京都立大学、東京都立産業技術大学院大学と)1高専(東京都立産業技術高等専門学校)を運営しており、これらの学校はコアリションに参加しています。
2021年7月16日には国公立大学・高専として初めて気候非常事態宣言を発出しました。
今回の推進プランでは、事業者自らによる直接排出(スコープ1)、他社から供給された電気・熱等の使用に伴う間接排出(スコープ2)だけでなく、それ以外の間接排出(スコープ3)も含めた「サプライチェーン排出量」全体について評価し、カーボンニュートラルを達成するために具体的にどのように取り組んでいくかが示されています。
こうした推進プランを公表できている国内の大学はまだ少数ですが、これからもそれぞれの大学の特性・地域性を取り込んだ特色ある取り組みが打ち出されていくといいですね。