最近テレビで、「人間が普通に生きてたら行くことない!」とか「出れるけど入られへん!」などと大変な悪口を言われて日本中で注目されている佐賀県。脱炭素の観点からも熱い視線が注がれているようです。
赤道から20度以内の海域では、表層の水は温かく、深海の水は冷たく、その温度差は20℃ほど。大雑把ですが、表層と深海を結ぶパイプを想像してください。その中にはアンモニアなど沸点の低い媒体が入っています。その媒体を表層の温水で気化させて発電タービンを回す。その後、気化した媒体が深層の冷水で冷やされて液化して、再び気化装置に送り込まれます。この繰り返しで発電するのが海洋温度差発電(OTEC, Ocean Thermal Energy Conversion)ですが、この分野の研究で大きな貢献をしているのが佐賀大学です。
アイディアそのものは19世紀後半から存在し、世界で研究が進められていましたが、1994年に佐賀大学の上原春男教授らが熱効率を劇的に向上させるシステム「ウエハラサイクル」を発明しました。これによって初めて実用レベルの発電施設を作ることが可能になりました。
海洋温度差発電には次のような特徴があります。
・クリーンで再生可能
・エネルギー源が無限
・発電安定している
・環境を汚染しない
2012年には佐賀大学の協力で沖縄県久米島において出力100kWの実証設備が稼働し、今でも運用が続いています。
佐賀大学 海洋エネルギー研究所
久米島町:海洋温度差発電実証設備
海には無限の可能性が秘められていますね。このOTECの技術も含めた海の可能性についてのシンポジウムをご案内します。
名称: 「ブルーエコノミーの推進に向けて ~海洋温度差発電(OTEC)からのレッスン~」
日時: 2023年2月1日(水)14:00~16:00
会場: オンライン
主催: 東京財団政策研究所
参加費: 無料
主な内容:
海洋生態系を改善するとともに、漁業、海洋観光、海運、海洋再生可能エネルギーの活用など、総合的な海洋資源の持続的可能な利用を目指すブルーエコノミーに注目が集まっています。本シンポジウムでは東京財団政策研究所メンバーにより、ブルーエコノミーの中でも気候変動問題への対処を背景にして喫緊の課題となっている海洋再生可能エネルギーについて、今後世界的に普及拡大が見込まれる洋上風力発電と、地域活性化への貢献が期待できる海洋温度差発電(OTEC)を主な事例として取り上げ、日本におけるブルーエコノミーの推進に必要な施策を考察いたします。
・「ブルーエコノミーの国際動向」 小林正典
・「ブルーエコノミーの国内動向」 渡邉敦
・「ブルーエコノミーとしての海洋再生可能エネルギー」 平沼光
・「洋上風力発電普及における社会的受容性の課題」 小林正典、渡邉敦
・「社会的受容性を構築する海洋温度差発電」 池上康之
・「脱炭素化に向けた海洋温度差発電の可能性」 杉本康太
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