困ったヤツどころか救世主 アンモニア

通っていた小学校に古いトイレがありました。いえ、正確に言えば、年齢のせいか育ちのせいかは分かりませんが、トイレなんて呼ばずに便所と呼んでいました。とにかく、その便所は、当時でもう何十年使われていたのか分かりませんが、いつもキツい臭い。最初は我慢していたのですが、そのうちそこに入る瞬間から出る瞬間までずっと息を止めて用を足すようになったのです。友達から聞いて、どうやらそれはアンモニア臭である、と知ることになります。子供時代の経験というのは恐ろしいもので、それ以来、「アンモニア=ほんとうに困ったヤツ」という認識を持っていました。

ところがどうでしょう、最近のアンモニアは。この1ヶ月のニュースをさっと拾い出すだけでもこんな感じです。

・「愛知県、アンモニア推進会議設立 脱炭素へ JERAなどと」
(10月17日/日本経済新聞)

・「米シェブロン、水素・アンモニア製造施設開発プロジェクトでエア・リキードなどと提携」
(10月20日/JETRO)

・「Sembcorp社と共同で,グリーンアンモニア利活用による協業を開始」
(10月26日/PR TIMES)

・「JERA とIHI、マレーシア火力発電所でアンモニア混焼を検討」
(10月27日/環境ビジネス)

・「米KBR、日量1万トンのグリーン・ブルーアンモニア供給開始」
(11月2日/JETRO)

・「東工大、『グリーンアンモニア合成』を実現する貴金属フリー触媒を開発」
(11月4日/TECH+)

・「JERA、オーストラリアで燃料アンモニア シェブロンと」
(11月8日/日本経済新聞)

・「IHIが『アンモニアCO2トレーサビリティプラットフォーム』を開発、CO2排出量や削減量の 証明が可能に」
(11月13日/DiGiTALiST)

・「ブルーアンモニア」製造の技術開発に着手―2050年のカーボンニュートラルの達成に貢献―
(11月15日/NEDO)

・「JX石油開発と米8リバース、環境対応事業拡大へメキシコ湾岸の共同事業開発で提携」
(11月16日/JETRO)

もはや地球を救うような勢いです。

しかも、子供の頃に憧れた「X-15」(1967年にマッハ6.7を記録した世界最速の有人航空機)の燃料にも使われていたというではありませんか。肥料の原料にも使われており、いまでは農業、つまり私たちの生存の根本の部分においても欠かせない存在です。困ったヤツどころか、実は、昔からすごいヤツだったわけです。

兵庫県立大学がアンモニアの可能性に関するシンポジウムを開催するので、ご案内します。

名称: 2022年度 第2回シンポジウム「脱炭素社会の『未来』を拓く『アンモニア』の可能性」
日時: 2022年11月22日(火)18:00 – 20:00
会場: 兵庫県民会館けんみんホール/オンライン
主催: 兵庫県立大学政策科学研究所
参加費: 無料
内容:
・基調講演
村木茂氏(東京ガス、一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会会長)
・パネリスト
井川太氏(日本エネルギー経済研究所研究主幹)
栗原照氏(電源開発経営企画部部長)
齊藤公治氏(関西電力エネルギー・環境企画室長)
中村稔氏(兵庫県立大学政策科学研究所特任教授))
嶺重温氏(兵庫県立大学工学研究科教授、兵庫県立大学水素エネルギー共同研究センター長)
・討論者
野村宗訓氏(関西学院大学経済学部教授)

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