「バウムクーヘン」も「グミ」も「メルヘン」も「アルバイト」もみんなドイツ語由来だそうですが、どうも、もう一つドイツ語を覚えたほうがいいようです。
「シュタットベルケ」。”市営・地方公営企業”を意味する言葉で、電気やガス、水道、交通などの地域公共サービスを自治体が地域に特化して運営する公社です。ドイツでは1,500近く存在しています(2019年時点)。
一番の特徴は「地域で得られた利益は、地域に使う」点にあり、例えば電力事業で得た利益を使って、交通サービスの損失分を補うといったことができます。公共サービスを別々の企業が行なっていると、こうはいきませんよね。
ドイツで実際にシュタットベルケが担っている事業範囲はさまざまで、電気やガスの供給、バスやスイミングプールの運営だけを行なっているところもあれば、上水道・下水道・廃棄物処理・学校・図書館まで運営しているところもあります。
日本でもこうした仕組みを取り入れる自治体があります。
岩手県宮古市は「宮古市版シュタットベルケ」をつくって脱炭素にも取り組んでおり、11月1日に環境省が公表した脱炭素先行地域(第2回)にも選ばれました。
「宮古市: 広域合併したまちの脱炭素地域づくり~宮古市版シュタットベルケから始まる地域内経済の好循環の拡大を目指して~」(環境省「第2回 脱炭素先行地域の概要」p.9)
シュタットベルケについて理解を深めたい方は、全国市町村国際文化研修所の機関紙「国際文化研修」(2021年 vol.110)に「特集/研修紹介 研修2 ドイツのシュタットベルケに学ぶ新たな地域経営手法~地域エネルギー事業を核とした公共サービスの運営~」という記事がありますので、参考になると思います。
なにかと厳しい世の中で揉まれていると、「カルテ」「ノイローゼ」「ヒステリー」といったドイツ語が身近になったりしていけませんが、「シュタットベルケ」で未来が明るくなるといいですよね。