相手が一国なら話が早い 二国間クレジット

議論百出なのか。甲論乙駁なのか。はたまた諸説紛紛なのか。

大勢が集まって議論するとき、本音でぶつかりあうとなおさらですが、合意に達するのはなかなか難しいですよね。先日の核拡散防止条約(NPT)最終検討会議でも、ロシアが最終文書の採択に反対したために決裂したままで閉会となりました。前回(2015年)はアメリカ・イギリス・カナダの反対で決裂しています。

1997年、温室効果ガスの削減量や吸収量に応じて発行される「クレジット」について、多国間の枠組みである「京都議定書」で「クリーン開発メカニズム(CDM)」という仕組みが作られました。先進国と途上国がこのCDMに異例のスピードで合意できたことは「京都の驚き」(Kyoto Surprise)として知られています。

しかし、多国間の取り決めであるCDMとは別に、日本では2011年から開発途上国との協議を始めた、二国間の取り決めで行う二国間クレジットメカニズム(Joint Crediting Mechanism, JCM)の活用が増えており、2021年7月末時点で17カ国がパートナーとなっています。

二国間での話し合いで成立する仕組みであるため、より簡単で、効率的で柔軟な運用ができるようです。

経済産業省のサイトにCDMとJCMの比較がされていますが、いくつか拾ってみると、

・メカニズム全体の管理:JCMは調整しやすく、コストも低い。
・プロジェクト対象の範囲:JCMのほうが広い。
・排出削減量の計算:JCMのほうが簡単にできる。

など、JCMのほうがさまざまな点で便利になっています。

早稲田大学地域・地域間研究機構(ORIS)グローバル・ガバナンス研究所の主催で無料ウェビナー「日本における2国間クレジットの可能性と課題」が開催されるので、ご案内します。可能性とともに、課題にも触れられているようで、興味深いですね。

名称: 日本における2国間クレジットの可能性と課題
日時: 2022年9月14日(水)16:00~18:00
会場: オンライン
主催: 早稲田大学地域・地域間研究機構(ORIS)グローバル・ガバナンス研究所
参加費: 無料
内容:
・講演者
小圷一久(環境省地球環境局 国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官室 国際企画官)
・討論者
佐藤勉(名古屋大学大学院環境学研究科 招へい教員兼早稲田大学グローバル・ガバナンス研究所
    招聘研究員)
吉高まり(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社フェロー、
     プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト)

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