あれば良かった放射性耐性 日本の原発 どこへ向かう

横綱。力士で最も強い者に与えられる称号ですね。

100度の高温、マイナス273度の低温、真空の宇宙、超高圧など厳しい環境下でも生き抜くことで知られる微生物クマムシですが、中でもこの最強の称号が与えられているのがヨコヅナクマムシ(Ramazzottius varieornatus)です。彼らはヒトの半致死量の約1,000倍(4,000 Gy)という強い放射線を浴びても生き残れます。

もはや全く死角が見当たらない最強生物です。彼らが肉食の巨大生物でなくてよかったと胸をなで下ろしています。

2016年発表の研究結果によると、この放射線耐性はどうも、放射線からDNAを保護する働きを持つ、クマムシ固有のタンパク質のおかげなのだそうです。そしてヒトの培養細胞にこのタンパク質を導入したところ、放射線に対する耐性が向上することが明らかになっています…。

なんだかSFみたいな話ですが、こんな力が私たちにも備わっていたら、もう少しこちらの問題も簡単だったかもしれないな、と想像してしまいました。

EUの欧州議会は7月6日、タクソノミーに原発と天然ガスを加える法案を承認しました。しかし反対派の加盟国からの批判があり、まだ議論は続きそうです。

放射性廃棄物処理の問題もあれば、電力供給への不安もあります。なんとも難しい話です。日本政府は次の冬までに最大9基の原発の稼働を進める方針ですが、今後日本の原子力発電はどこへ向かうのでしょうか…。また、世界の状況はどうなっているのでしょうか。

経済産業省が今年2月に発表した「今後の原子力政策について」をみるとその概要を掴むことができます。

また、7月22日に一般社団法人 日本原子力産業協会が「原子力サプライチェーンの維持・強化に向けた提言について」を発表しました。

参考になればと思います。

さて、環境事務次官、原子力規制庁次長などを務めた森本英香氏が、早稲田大学 先端社会科学研究所が主催する無料セミナーで講演を行うのでご案内します。以下、抜粋です。

第7回カーボンニュートラル研究セミナー ~脱炭素化を主流化するために

日時: 2022年8月29日(月) 13:30 – 15:30
場所: オンライン
主催: 早稲田大学先端社会科学研究所
共催: 早稲田大学環境経済・経営研究所 、早稲田大学高等研究所、
    早稲田大学スマート社会技術融合研究機構

概要:
長年環境行政に携わるとともに、東日本大震災後は、原子力規制組織の設立・運営、福島の復興にも関わってきました。そんな視点から、今日の脱炭素(2050年CN:カーボンニュートラル)の動きを見てみたいと思います。国内外の脱炭素化の動きをスケッチし、我が国としてこれから何が必要かについて論じたいと思います。

また、気候変動問題は、途上国も含めて地球規模で取り組まねばならない課題です。日本等先進国だけが脱炭素を実現しても問題の解決にはなりません。どのような取組みが必要か問題提起と大学への期待についても議論させていただければ、幸いです。

詳しくはこちらをご覧ください。

出典:
東京大学大学院:ヒト培養細胞の放射線耐性を向上させる新規タンパク質をクマムシのゲノムから発見