脱炭素と環境破壊 高くそびえる風力発電

約100万年間に複数の噴出口から多数の溶岩流が流出し、複雑な地形を生み、それが美しい景観を作り出しました。それが現在の宮城県と山形県にまたがって約30kmひろがる蔵王連峰です。最高峰の熊野岳(1,841m)をはじめ、刈田岳(かっただけ)、屏風岳、不忘山(ふぼうさん)、五色岳など多数が並ぶ火山群で、日本百名山に認定されています。古くは刈田嶺、不忘山(わすれずのやま)と呼ばれていました。

記録に残る最も古い噴火は773年(宝亀4年)。新抄格勅符抄(しんしょうかくちょくふしょう)という法令記録に「刈田嶺神 二戸」(かったみねのかみ にこ)という言葉がでてきます。これは「刈田嶺の神に二家族分の税を差し上げます」という意味だそうです。当時、火山は神だと信じられており、いまの蔵王連峰は「刈田嶺神」という神でした。噴火があるたびにその「怒り」を鎮めるために税を差し上げていたのかもしれません。

奈良の吉野地方で始まった日本独自の山岳仏教、修験道が全国に広まる中、その本尊である「蔵王権現」が山頂に祀られ、修行の場にもなりました。

現在、この地域は宮城と山形の重要な観光地でもあります。エメラルドグリーンの火口湖「御釜」。日本の滝百選に数えられる落差181mの「三階の滝」。春と夏は高山植物の群生。秋は紅葉。冬は樹氷。多数の温泉、スキーゲレンデ。人々の心を癒してくれる、かけがえのない大自然がそこに広がっています。

8月11日は祝日「山の日」。その趣旨は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」こと。この時期、蔵王地域では「山の日」全国大会が行われています。

やまがたChannel: 第6回「山の日」全国大会PR動画 「山を想い」編

山とは、何なのでしょう。信仰や崇拝という言葉を待たずとも、私たちはその雄大な姿に圧倒され、何か特別なものを感じ、癒されますよね。

現在、蔵王連峰における風力発電計画が問題となっています。同様の問題はこれからも全国各地で増えてくるでしょう。直接影響を受ける地域の人々だけでなく、全ての人々が考えていく必要がありそうです。