東京都世田谷区に住む小林さんは20年ほど前に、ご両親が高齢となり二世帯住宅に建てかえるのをきっかけに「地球と同居できる家」を設計しました。
しっかりした基礎と構造を備え、断熱性能が高く、気密性も優れた家にし、リサイクルできる建材を利用した上で、さまざまな設備を導入しました。
・太陽光発電
・太陽熱を使った床暖房と給湯
・雨水の利用
・風力発電
・壁面緑化
など、当時の最先端の技術を取り入れました。
実はこの小林さんは、環境庁の地球環境部 環境保全対策課長として、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3/1997年)の日本への誘致や、京都議定書の国際交渉、日本で初めてとなった地球温暖化防止法制の立案などに携わっていた小林光氏なのでした。
この家の完成後、小林氏はこの家の建築にまつわる出来事を「エコハウス私論~建てて住む。サスティナブルに暮らす家 」(2007年)にまとめました。
環境共生住宅推進協議会のサイトには小林氏のインタビュー記事があり、エコハウスが意味するところについて語っています。
「人間は地球と同居していて、それを忘れてはいませんか?」と、自分の家を建てる以前から仕事の中で使っていたこの言葉を実現するもの、形として表したものが「エコハウス」なんです。
環境共生住宅推進協議会 くらしかた・すまいかた Vol. 011 羽根木エコハウス
小林氏はのちに環境省事務次官(2009-2011年)を務め、現在は東京大学の先端科学技術研究センター顧問、および教養学部客員教授として活躍されています。7月に環境政策に関する講演がありますのでご案内します。以下、抜粋です。
第5回カーボンニュートラル研究セミナー
「環境政策の歴史から見た、対策実装の障害と突破の鍵~気候変化への政策の発展のために~」
日時: 2022年7月20日(水)10:00~11:30
場所: オンライン
参加費: 無料
主催: 早稲田大学先端社会科学研究所
概要: これまでの環境政策の歴史を振り返り、環境政策が遭遇した障害を概観し、その突破の機序が何だったかを考察した上で、今後の脱炭素政策を進展させるうえで重要な鍵は何かを論ずる。特に、複眼的な視点によるコ・ベネフィットの積極的な援用、多様なステークホルダーの参画などに期待するところを述べる。
講演者: 小林 光 氏(東京大学先端科学技術研究センター顧問、同大教養学部客員教授)
詳しくはこちらをご覧ください。