慣れないスピーチを終えた時、ジェットコースターを降りる時、水風呂から出た時、自然と深呼吸をしてしまいますよね。「深呼吸で健康になる」なんて言葉もよく目にします。
琵琶湖も深呼吸をするそうです。
冬の冷え込む時期に、酸素を多く含む表層の水が冷えて沈み込み、酸素の少ない低層の水と混ざり合って湖底まで酸素が行き渡る「全層循環」という自然現象があり、これを「琵琶湖の深呼吸」と呼んでいます。
これが起きないと、湖底の溶存酸素が不足して低層に住むイサザ、ヨコエビなどの生き物に影響します。湖底の生き物が激減あるいは死滅するようなことになれば、湖の生態系に大きな影響を与え、そうなると琵琶湖の水産業や観光業にも影響があります。
1979年以来、琵琶湖北部で調査が続けられてきましたが、2019年になって初めて全層循環が確認できず、続く2020年も確認できないという事態が起きました。
その後、2021年の2月には3年振りに確認されて関係者もほっとし、2022年2月も確認されています。
滋賀県 広報: 琵琶湖北湖で全層循環を確認(2022年2月1日)
しかし、環境省は2013年に琵琶湖の全循環停止の可能性について将来予測をしており、気温、降水量、日射量の前提条件はあるものの、2034年~2036年の間に、全循環が停止する可能性に触れていました。
予測よりも早い段階で全循環停止が発生していますし、温暖化の影響も指摘されていますので、安心もしていられない状況です。
琵琶湖は起源を辿ると400万年前にできた古代湖で、世界でもバイカル湖、タンガニーカ湖などに次ぐ屈指の古さ。1700種を超える水生動植物が生息する豊かな湖。
深呼吸をして、いつまでも健康でいて欲しいですよね。