ビーバーは今頃「え、僕、なにかまずい事してしまいましたか?」と驚いているかもしれません。
アメリカ海洋大気局(NOAA)が2021年12月に公表した北極圏の環境に関する報告書「北極レポートカード」(Arctic Report Card)には、2020年10月から2021年9月の北極圏の平均地表気温は過去7番目に暖かかったことや、北極圏の気温上昇は地球上の他の地域の2倍以上のペースで進行していることなど、厳しい状況が書かれています。
2021年8月14日には、グリーンランドの氷床上、標高3,200mにある通年観測基地サミット・ステーション(Summit Station)で、史上初めて降水が観測されました。
NOAAの記事には”気候変動が北極を劇的に変えている”と書かれています。
この報告書にビーバーが登場します。
昔、ビーバーが主人公の「ドン・チャック物語」というアニメ番組がありましたし、「ビーバーエアコン」というエアコンもあります。一般的に可愛いとか、働き者というイメージがあるのではないでしょうか。
ところが近年、北極圏でビーバーの分布域が拡大しており、彼らが作るダムによって地表水域が拡大し、それが永久凍土を溶かしていることが分かってきました。アラスカ北西部では、衛星画像を使った研究により、水域拡大の66%がビーバーによるものだと判明しています。永久凍土が溶けると、土中に含まれるメタンガスが空気中に拡散していきます。
こちらの記事に2003年と2016年の衛生画像があります。(青色の矢印は川の流れ。マゼンタ色の矢印はビーバーのダムを指しています)
アラスカ西部のツンドラ地帯に存在するビーバーのダムは12,000以上で、これは2000年の倍の数です。ビーバーのダムが今後どのような影響をもたらすのか、まだまだ研究が必要なようです。
なにはともあれ、どうかビーバーたちが悪者にされないように、と願うばかりです。