太陽電池から光をあてたい ペロフスキー

1970年代のことですが、アメリカ生まれの「ゲイラカイト」という三角形のタコ(凧)が、大流行しました。テレビCMもあったくらいです。それまで私の中でタコといえば、多数の竹ヒゴを糸で結んで四角い骨組みを作り、障子紙を貼ったものでした。一方、ゲイラカイトは、四本程度の骨しか使わず、三角形で、ぺらぺらのビニールでできていました。開封して数分で組み立てられるシンプルなもので、「こんなもので本当にちゃんと飛ぶのかな」と思いながら上げてみたら、嘘のようにスルスルっと空高く舞い上がっていったので、大変な衝撃を覚えました。

そんな強烈な思い出に引っ張られたせいでしょうか、薄い膜で発電できるという「ペロブスカイト太陽電池」と聞いた時に、「カイト…。なにかタコと関係あるのかな」と一瞬思ってしまいましたが、全く関係ありませんでした。それにしても、なぜか親近感がわく名前です。

1839年、ドイツの鉱物学者グスタフ・ローゼがロシアのウラル山脈で新鉱物を発見。ロシアの著名な鉱物学者レフ・ペロフスキー(Lev Perovski)に敬意を表して、それをペロブスカイト(perovskite)と名付けたそうです。「ペロフスキーの石」という感じですね。

レフ・ペロフスキー(1792-1856)

余談ですが、ペロフスキーは、軍人、政治家でもあり、帝政ロシアで1841年から1852年まで、つまり日露和親条約締結の少し前まで内務大臣を務めていました。

このペロブスカイトの結晶構造を「ペロブスカイト構造」といい、この構造をもつ材料で作った太陽電池が「ペロブスカイト太陽電池」である、ということです。

2009年に日本の宮坂力教授らが世界で初めて開発。当初はあまり注目されなかったのですが、発電効率を3倍近く上げた2012年からは世界中で研究が盛んになり、2021年6月にはポーランドのサウレ・テクノロジー社が世界初の商業生産を始めました。

サウレ・テクノロジー社の紹介映像(2021年)

経済産業省・資源エネルギー庁の2021年8月の資料でも、「特に有望な次世代型太陽電池」として重点が置かれています。

資源エネルギー庁:
「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画(案)の概要

あらゆるものに貼り付けて、あるいは塗布して発電できるため、都市全体で発電できる、とも言われていますね。すごい話です。

そんなペロブスカイト太陽電池に関する話もあるセミナーをご紹介します。

産学連携セミナー「カーボンニュートラルをビジネスチャンスに!」
日時: 2022年6月20日(月) 14:00~16:40
主催: 大阪商工会議所、大阪府
参加費: 無料
場所: 大阪商工会議所 およびオンライン配信

大阪産業技術研究所でペロブスカイト太陽電池の研究開発など、他にもさまざまな取り組みや施策について講演があります。

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