ある日突然ハードディスクが読み込めなくなってしまい、血の気が引くような感覚を味わったことがある方も多いと思います。「データレスキュー」というと、そのような障害が起きたハードディスクなどからデータを取り出すことを連想しますが、この場合は世界の気候変動に関わるスケールの大きなプロジェクトです。
世界気象機関(WMO,World Meteorological Organization)が進めている国際データレスキュー(I-DARE, International Data Rescue) というプロジェクトがあります。世界各国の多数の気象機関が協力して、紙やマイクロフィルムで保存されている古い記録が劣化したり廃棄されたりしないうちにデジタル化して気象データとして利用できる状態にしようというものです。
文書に書かれている情報をそのままデジタル化するだけでは不十分で、記録された年代や地域によって単位や位置情報、気圧の補正などが必要なので、大変な作業になるようです。
日本で公式に気象観測が始まったのは1875年でしたが、それ以前にはドイツ人医師シーボルトなど長崎にいた外国人や東京や大阪の蘭学者が残した観測記録があります。そのようなものも含めて1825年以降の記録が整理されています。
イースト・アングリア大学のサイト: Climatic Research Unit, University of East
アメリカ海洋大気庁(NOAA)のサイトでは日本の1950年5月の「日本気候表」(中央気象台)などの古い記録のスキャン画像が公開されています。
地球規模の気候変動の推移をより正確に分析するために、このような作業も地道に進められているんですね。