コロンブスの卵 重力蓄電

もしも私が大航海時代に生まれていたら、コロンブスが卵をテーブルにガツンと立てて置いた時に「なんだ。そんなことでいいなら私にだってできたのに」とつい思ってしまった方かもしれません。

ダムによる揚水発電の要領で、余剰電力を使ってコンクリートのブロックを積み上げておき、電力が必要な時にはそれを下ろす時にかかる重力を使って発電。これを「重力蓄電」と呼ぶ。

言われてみれば実にシンプルなことで、すぐに理解できることですが、いやまさか、こんな形でそれを実現してしまうなんて、すごい話です。

動画: Energy Vault社(シミュレーション動画)
動画: Energy Vault社 研究開発センター

・構造がシンプル。リチウム電池のように劣化しない。
・35トンのコンクリートブロックは再生素材を利用。環境負荷が少ない。
・建設費用は10億円程度と低コスト。
・リチウムなどの鉱物資源が不要。解体時の環境負荷にも配慮。
・揚水式発電の電力効率が70%前後であるのに対して、こちらの電力効率は85%。
・高さ120メートルのタワー1基で35メガワット時の電力を保存。人口3万人の都市の電力需要に対応できる。

このままだと強風時にはちょっと困りそうですが、基本的にはメリットがたくさんですね。未来を作っていくのは、必ずしも新しい技術ばかりではないということですね。面白いものです。