プラスチック汚染問題の解決に向けて 歴史的瞬間

ギャベル(木槌)がコン!と叩かれた瞬間、場内が歓声に包まれました。UNEPのインガー・アンダーセン事務局長が声を上げて立ち上がりました。満面の笑み。抱擁。会場には喜びが満ち溢れていました。

アンダーセン事務局長が「今日という日は歴史の教科書にのる1日でした。環境保全にとって非常に大きな意味のある日でした」と興奮冷めやらぬ様子で語ります。

UNEP/地球規模のプラスチック汚染協定:歴史的瞬間(英語)

3月2日、国連環境総会において、プラスチック汚染の終結を目指して法的拘束力のある国際協定を作ることが決定しました。2022年後半には政府間交渉委員会を立ち上げて、2024年末までに委員会の作業を終える予定です。

UNEPの報告書”From Pollution to Solution”(2021年)によると、海に流出するプラスチックは毎年480万トンから1270万トンと推定されています。仮に1,000万トン/年としてみます。標準的なゴミ収集車の積載量は2トンほどですから、これは6秒ごとに収集車1台分のゴミが海に放り込まれている計算になります。どうでしょうか。自動販売機の前に立ち、急いでお金を入れて、飲み物を選んでボタンを押したら「ドカッ!」と2トンのゴミが出てくるというイメージでしょうか。めまいがしそうです。

総会の決議草案をみるとはっきりと「End plastic pollution」(プラスチック汚染を終わらせる)と書かれています。削減だの緩和などというゆるい話ではなく、「終わらせる」としているところに決意の強さが見えています。

奇しくも、日本でもこの4月からプラスチック資源循環促進法が始まります。

社会的に重要な役割を持つプラスチックですが、それを持続可能なものにできるかどうかは、私たちの行動次第ということですね。

●UNEPの報告書“From Pollution to Solution”(2021年)(英語)
●環境省:第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)の結果について
●環境省:プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律