脱炭素を目指す動きの中で、新たなエネルギー源として注目される水素。社会全体への普及という観点からは生産コストや運搬、供給設備の面でまだまだ研究開発の進展が望まれているところです。しかし、スペースプレーン開発という分野ならまた話は変わってくるのかもしれません。
グリーン水素を燃料とするため、CO2の排出はゼロで、水蒸気を排出するだけ。マッハ5~10の極超音速で飛行するスペースプレーンの開発がオーストラリアで進められています。
これは低軌道に小型衛星を投入することを目的としたスペースプレーン”デルタ・べロス (Delta Velos)”で、シドニー大学と航空宇宙技術のスタートアップ企業ハイパーソニックス・ローンチ・システムズ社が提携して研究・製造を行います。
2021年12月、シドニー大学に「シドニー・マニュファクチャリング・ハブ」という、製造業に焦点をあてた新たな研究施設が設置されました。3Dプリンターを使った金属、セラミック、ポリマーのアディティブ・マニュファクチャリング(付加製造)の活用を支援する施設で、このスペースプレーンのプロジェクトでは、エンジン部分と胴体の製造にこの技術を応用するとのこと。
最新技術×最新アイディア、そして民間企業×大学で脱炭素の取り組みが進んでいますね。
なお、この記事では触れられていませんが、このスペースプレーンはスクラムジェットエンジンで飛行する航空機であり、これ自体は宇宙空間を飛行できません。小型衛星を打ち上げる時にはこのデルタ・べロスにロケットを搭載した、”デルタ・べロス・オービター (Delta-Velos Orbiter)”を使うことが想定されています。上空で切り離されたロケットが、さらに速度と高度を上げて行き、衛星分離を行います。
概念図をこちらで見ることができます。
https://hypersonix.com.au/orbiter/