実質ゼロの環境省による定義と、その課題について

環境省のページでは実質ゼロを次のように定義しています:「実質排出量ゼロ:CO2などの温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と、森林等の吸収源による除去量との間の均衡を達成すること」

つまり、排出量をゼロにすることは諦め、ゼロにならない「なお残る排出」を何らかの吸収源でカバーし帳尻をあわせるということです。

確かに、一朝一夕に排出をゼロにすることはできません。悲しい現実です。しかし、だからと言って、帳尻合わせだけに専念すると欺瞞的環境配慮を装う「ごまかし」、すなわちグリーンウォッシング(greenwashing)の付け入る隙が生じます。

現状では、市場によってネッツの種類が選択されてしまいます。これでは、何が「なお残る排出」なのかを金持ちが決めることになり不正義が相変わらず横行することになります。そんな例は、これまで山ほどありました。ここでは、そのような結果をもたらさないために、この政治的な重要課題は市場に任せるのではなく民主的手続きを経て決められるべきだという主張を御紹介します。

どのネッツも、大気から二酸化炭素を捕集するだけでは終わりません。それぞれのネッツが、他にどのようなアウトプットをもたらすか、そもそもネッツに必要なインプットは何か。また、達成すべき規模は幾らなのか。それを誰が決定するか。正義に基づいた選択が求められます。