潮目が変わった。もう実質ゼロはゆらがない。そう確信させる「世界エネルギー見通し(World Energy Outlook 2021)」を国際エネルギー機関が発表しました。(エグゼクティブ・サマリーはこちらです)
パリ協定の目標である「2050年までの気温上昇1.5℃以内」への道を外さないためには2020年比で石炭5割、石油2割を2030年までに削減しなければならない。現状の施策では2100年時点の気温は2.6℃上昇する。日米欧などが50年までに実質ゼロにすると公表した目標を達成しても2.1℃上昇する。クリーン・エネルギーの導入ペースは遅いが、差を埋める方策はあり、しかもそれは費用対効果に優れている。化石燃料業界の雇用は減るが、新エネルギー(New Energy)業界の雇用増がそれを補って余りある。その市場規模は2050年までに現在の約10倍に拡大する。
こういったことを述べているのですが、何しろ国際エネルギー機関が毎年発行している権威溢れる報告書「World Energy Outlook」が、COP26を前にして 「クリーン・エネルギー」への移行を大っぴらに認め、推奨もしているのです。
国際エネルギー機関は1970年代の石油危機を踏まえ、石油供給を確保する目的でつくられ、以来一貫して化石燃料業界の立場に立っていました。その方針を180度変えた驚きの報告書(flagship report)を出したのが今年の5月でした。
今回の「World Energy Outlook 2021」は、そのダメ押しと言えます。