ティッピング・ポイントと生態系の回復力

Iceberg in the sea of Labrador/ Photo credit: patano/ CC BY-SA 3.0

微妙なバランスの上で成り立っている自然。このバランスが崩れ取り返しがつかなくなる境い目である「ティッピング・ポイント」について、それを越える予兆や連鎖があることを、これまでにお知らせしています。

「ティッピングポイント」越えの予兆(2021年8月18日)
ティッピングポイントの将棋倒し(2021年6月16日)  

この重要な考えに関して、「それは単純すぎる」とする論文が発表されています。

これまで軽視されていた地球システムの3次元動態や多重安定性という視点で数学モデルと事例とを考察した結果です。特に、これまでティッピング・ポイント越えの前兆と見做されてきた生態系に起こる自発的パターン形成(チューリング・パターン)が、複数のパターンが共存する場合などには却って生態系の回復力(resilience)を示すこともあるからだとしています。

地球システムは思った以上に耐性があるとする論文ですが、それでも気を緩めることなく気候変動を止めるためにあらゆる努力を惜しんではならないとも言っています。 ティッピング・ポイントの考えはまだまだ進化途上ということなのでしょう。