日本では温室効果ガスと言えば二酸化炭素です。事実、二酸化炭素の温暖化への寄与は9割以上を占めています。ところが、世界全体では二酸化炭素の寄与は四分の三に過ぎず、二番手のメタンが15%余りとなります。つまり、二酸化炭素はメタンの5倍程度の寄与に過ぎないのです。これが日本ではおよそ40倍です。日本でメタンに注目が集まらないのも納得です。
世界全体で見ると温室効果が無視できないメタン。近年その大気中濃度の増加が加速しています。そのため、発生源や大気からの回収などが盛んに議論されるようになっています。9月1日にお知らせした「メタンの排出削減について」は、それを反映したものです。
今回は、メタンの発生源を調べた最近の研究結果をお知らせします。熱帯の湿地から放出されるメタンが約35%、中国からの人為起源のメタン排出が約20%を占めているという結果です。
ところで、日本のメタン排出数値が低い原因には、誰が温室効果ガスを排出しているかを決める手順も関わっています。日本は石油や天然ガスを輸入しているのですが、その採掘に伴って大気に排出されるメタンは日本の分として計上されないからです。温室効果ガスの排出を誰に帰属させるかの手順が変わって、日本のメタンによる温暖化への寄与が大きく計上されることにでもなれば、二酸化炭素同様、メタンも
実質ゼロを目指して取り組んでいく必要が高まることでしょう。