二酸化炭素排出の外部委託について

A scene during a Seagate Wuxi China Factory Tour. Workers perform final testing and QA before sending drives off to customers on its 2.5-inch notebook lines in 2008. / Photo credit: Robert Scoble/ CC BY 2.0

2021年2月15日付けのお知らせ「米国の都市における温室効果ガス排出量の過少報告」で「温室効果ガス量の正しい計上法を国際的に定めるべき」とお伝えしました。

グラスゴーでのCOP26が間近に迫る中、この問題を分かりやすく述べた記事がThe Australianにでています。

一般に、汚染物質による経済的損害の費用は汚染者が負担するという「汚染者負担原則」があります。この「汚染者」が誰なのかですが、普通は生産者が汚染者とされます。製品・サービスのライフサイクルに亙って生産者が責任を持つのが「拡大生産者責任」です。この原則で、二酸化炭素の排出も生産者が排出したものと今はされています。

ところが、これでは二酸化炭素の排出が多いものの生産を外注すると、自分の排出を見かけ上少なくすることができます。グリーンウォッシング(greenwashing)です。欧米は、このお陰で実質ゼロの前倒しさえできるのに、オーストラリアや中国は怠け者のレッテルを貼られているという次第。

これを少しでも避けようというのが、サプライチェーンを通して排出量を求める考えですが、まだまだ発展途上であると同時に、精緻さを高めようとすればするほど煩雑さや曖昧さが深まるだけでなく、ダブルカウントの恐れも生じます。人間社会だけの視野から離れ、地球システムの物質循環を踏まえた計上法が求められます。